2024年11月に日本語教師の国家資格「登録日本語教員試験」の第一回目が行われました。
難しかったのか、どんな内容だったのか、独学できるのかなど気になる方も多いはず。
そこでこの記事では、実際に受験された方の感想も交えながら試験対策の方法、取得後のキャリアについてなどを紹介します。
【こんな人に読んでもらいたい】
- 登録日本語教員試験について知りたい人
- 日本語教師になりたい人
- 国家資格取得を検討している人
- 日本語教師の人
登録日本語教員試験とは?
日本語教師の国家資格になります。
登録日本語教員試験に合格すると認定日本語教育機関で日本語教師をして働くことができます。
認定日本語教育機関とは…
簡単に言うと、「留学生」を受け入れることができる日本語学校(教育機関)の事です。
今後、認定日本語教育機関で勤務する際は、国家資格「登録日本語教員試験」に合格していないと働けなくなります。
現在は移行期間中のため、まだ合格されていない方も問題ありませんが、今後も、継続して「留学生」に日本語を教える際は、必須の資格となります。
逆に言うと、「留学生以外」を受け入れている日本語学校(教育機関)は、認定日本語教育機関ではないので(申請することは要件を満たせばできるようです)、このような機関で勤務する際は、国家資格は必須ではありません。
ご自身が、どんな場所でどんな方々に教えていきたいかで、受験の有無が変わってきます。
もちろん、留学生に教えていないけど、とりあえず取っておきたいというのはOKです。
受験はどなたでもできます。
認定日本語教育機関 | 認定ではない日本語教育機関 | |
文部科学大臣認定 | 〇 | × |
留学生に対して日本語教育 | 〇 | × |
就労者に対して日本語教育 | 〇 | 〇 |
生活者に対して日本語教育 | 〇 | 〇 |
登録日本語教員 | 登録日本語教員ではない教師 | |
認定日本語教育機関での勤務 | 〇 | × |
認定ではない日本語教育機関での勤務 | 〇 | 〇 |
試験導入の経緯
そもそも、何故国家資格化することになったのでしょうか。
分かりやすく2点にその理由をまとめました。
より詳しく知りたい人は、令和4年12月に行われた日本語教育推進会議の資料をご参照下さい
日本語教師の質の向上
コロナ渦で一度は落ち込んだものの、また日本語学習者数は増加傾向にあります。
しかしながら、日本語教員数は約4万人前後と横ばいで、また、約半数がボランティアであると言われています。
そのため、日本語教員の質が一定でない可能性があります。
こういった事を踏まえ、認定日本語教育機関と呼ばれる日本語教育機関では、一定の教育の質が保証された日本語教育機関を選択できるような環境を整備していくことを想定しています。
日本語教師の不足緩和
日本語教師の処遇改善や社会的認知を高め活躍できるよう、国が実施する試験に合格し、実践的な研修を修了した者が国の登録を受け、教師自らのキャリアを社会に証明できるようになる事を想定しています。
始まったばかりの資格のため、今後どの程度社会的に有利になるのかは、まだ分かりません。
また、登録日本語教員でなくても、実際、日本語教師として、活躍することはできます。
国家資格化したことにより、興味を持つ人が増え、質の高い日本語教師が増えることが期待されていますが、どこまで期待通りになるのかは、不明瞭です。
試験の内容
登録日本語教員になるまで、下記の流れになります。尚、上記にご紹介した、現在当てはまるご自身の状況に応じて、試験と実習などが免除になる場合もあります。
しかし、この措置、令和6年4月1日~令和11年3月31日までの経過措置となっており、その後は未定です。(一部、令和15年3月31日まで)
- 講習Ⅰ→講習修了認定試験
- 講習Ⅱ→講習修了認定試験
- 基礎試験
- 応用試験
- 実践研修
経過措置期間中は、これら全てを受けなければならない人は存在しないようです。
どのパターンの人であっても、いずれかは免除になります。
詳しく知りたい人は、文化庁から発行されている「登録日本語教員の資格取得ルート」をご確認ください。
登録日本語教員試験の難易度
気になるのが、試験の難易度ですよね。
私のインスタをフォローしてくれている先生に、感想を伺いました。
受験者の体験談
実際に受験されて、どうだったのでしょうか。
経験者でも難しいと感じる部分はありました。
聴解はひとつの問題に2つのタスクがあり、じっくり考える時間はありません。
筆記(読解)試験も100分で60問あり、あっという間に過ぎてしまいます。
難しい事もあり、何よりも量が多かったようですね。
テキパキと答えられるように、しっかりと勉強しておかないといけなさそうですね。
日本語教育能力検定試験との違い
日本語教育能力検定試験は、毎年10月下旬に行われる民間の試験です。
こちらは、国家資格ではありません。
日本語教育をする人に、必要とされる基礎的な知識・能力を図ることを目的としています。
毎年の合格者数は25%~30%程度です。こちらも、勉強しないで受かるのは難しいでしょう。
国家資格登録日本語教員試験と出題内容は、割と似ている印象です。
日本語教育能力検定試験の勉強をしていれば、登録日本語教員試験も挑めるのではないかと思われます。(合格を保証するものではありません)
基礎試験と応用試験について
登録日本語教員試験には、講習のほかに基礎試験と応用試験があります。
どちらを受けるか、一方のみかは経過措置ルートによって異なります。
基礎試験
基礎試験では、日本語教育を行うために必要となる基礎的な知識及び技能が区分ごと
に出題されます。
区分 | おおよその出題割合(案) |
(1)社会・文化・地域 | 約1割 |
(2)言語と社会 | 約1割 |
(3)言語と心理 | 約1割 |
(4)言語と教育(教育実習を除く) | 約4割 |
(5)言語 | 約3割 |
- 試験内容:日本語教育を行うために必要な基礎的な知識及び技能を測定する。
- 試験時間:120分
- 出題数:100問
- 出題形式:選択式
- 採点:1問1点(100点満点)
- 合格基準:各区分で約7割程度、かつ総合得点で約8割程度の得点があること
基礎試験ですので、問題は多少易しいものがあると思われますが、そのため7~8割の得点を取る必要があるようです。
応用試験
応用試験では、基礎的な知識及び技能を活用した問題解決能力を測定します。
区分を横断する出題のため、領域ごとの出題割合は示されていません。
応用試験の一部は、日本語学習者の発話や教室での教師とのやりとりなどの音声を用いて、より実際の教育実践に即した問題を出題し、問題解決能力や現場対応能力等が図られます。
- 試験内容:基礎的な知識及び技能を活用した問題解決能力を測定する
- 試験時間:音声による出題 45 分・文章題 120 分(休憩 45 分あり)
- 出題数:音声による出題 50問・文章問 60問
- 出題形式:選択式
- 採点:1問2点(220点満点)
- 合格基準:総合得点で約6割の得点があること
今後、2024年11月の結果などが発表されると思います。
詳細が出ましたら、追記します。
登録日本語教員試験の対策講座
ここまで見てきて、登録日本語教員試験、ちょっと難しそうだなと感じた人も多いのではないでしょうか。
独学でも十分合格を狙えますが、参考書だけでなく、日本語学校が提供している対策講座を受講してみるもの◎です。
より分かりやすく、出題問題に沿って勉強できるので、より効果的です。
登録日本語教員試験対策講座
対策講座は、開設されたばかりで、色々な学校で割引キャンペーンを実施しています。
今後、登録日本語教員試験を受験される予定の方は、少しでも安い時に、対策コースを受けてみてはどうでしょうか。
学校名 | コース名 | 金額 |
東京中央日本語学院 | 国家試験 日本語教員試験 短期合格パック | 通常133,100円→ キャンペーン中!99,800円(税込) |
ヒューマンアカデミー | 日本語教師に求められる 「必須の教育内容50項目」解説講座 | 63,200円(税込)~ |
KEC日本語学院 | 日本語教員試験対策 合格パックオンラインコース | 通常365,750円(税込)~→ キャンペーン中!234,850円(税込)~ |
ルネサンス日本語学院 | 日本語教員国家試験対策コース | 121,550円(税込) |
カナン東京日本語 | 日本語教員試験 合格対策講座 | 110,000円(税込)→ パック割88,000円(税込) |
千駄ヶ谷日本語教育研究所 | 日本語教員試験対策コース | 99,000円(税込)→ キャンペーン価格90,750円(税込) |
キャンペーンに関しては、今後終了または変更される可能性がありますので、ご注意ください。
サンプル問題
出題内容の例として、施行試験で行われた問題の一部が公開されましたので、ここでも少し載せていきます。
詳しく知りたい方は、日本語教員試験試行試験 結果の概要 第124回日本語教育小委員会 (R6.2.22)をご参照ください。
出題内容サンプル・基礎試験
出題内容サンプル・応用試験
応用試験では、聴解問題もあります。
どうでしょうか。これを見て難しそうと感じた方も多いのではないでしょうか。
独学のおすすめテキスト
登録日本語教員試験対策講座を取らなくても、テキストを購入して独学で勉強することは可能です。
独学のメリットとデメリット
下記に、独学のメリット&デメリットを3つずつ挙げてみました。
メリット | デメリット | |
1 | コストを抑えられる | 質問ができない |
2 | 自分の好きな教材を使える | 学習内容が偏る可能性あり |
3 | 自分で計画を立てれる | モチベーションが下がる可能性あり |
登録日本語教員試験だけでなく、すべての試験勉強で同じことが言えると思いますが、独学は自分で自分をコントロールして、計画を立て、進めていかなければいけません。
独学だと、孤独なため、分からないことがすぐに解決できなかったり、やる気が徐々に低下していくなど、皆さんも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
ただ、日本語教師養成講座や日本語教育能力検定試験を合格されている方であれば、重複している内容も多いため、そこまで負担に感じない方もいると思います。
独学が良いのか、対策講座を受講した方が良いのかは、ご自身の性格ややる気次第で変わってくると思います。
おすすめ参考書
実際に独学で登録日本語教員試験を受験された先生から、実際に使用されたテキストを教えてもらいました。
日本語教員試験 対策用語集 | 単行本¥3,080 電子書籍¥2,772 |
|
日本語教育能力検定試験 対策問題集 | 単行本¥2,530 電子書籍¥2,277 |
|
日本語教員試験 まるわかりガイド | 単行本¥2,750 電子書籍¥2,475 |
中でも、日本語教員試験 まるわかりガイドが一番役に立ったと言っておられました。
合格するための勉強法
せっかく勉強するなら、合格したいですよね。(当たり前ですよね)
そこで、私の経験を踏まえ、合格するための勉強法を3つご紹介します。
ステップ1:過去問を解く
登録日本語教員試験は始まったばかりですので、過去問がほぼありませんが、出題範囲は、日本語教育能力検定試験とほぼ同じです。
日本語教育能力検定試験の過去問はたくさんありますので、まずは過去問を見たり解いたりして、どんな問題なのか、自分にとって難しいのかなど把握しましょう。
過去問を見ずに、参考書を使い始める人が多いですが、私の経験上、まずどのような問題なのかを把握してから、勉強を始めた方が、より効率が良いです。
ステップ2:自分の苦手分野を知る
登録日本語教員試験の内容は、多岐にわたり出題問題されます。
そのため、自分の得意不得意分野が出てくると思います。
どこが苦手かをきちんと把握して、そこを網羅できるように勉強を進めて行けると◎です。
特に、聴解問題が苦手と感じる人が多いと思われます。
聴解は、覚えるというよりも慣れる必要があるので、何度も繰り返し聞いて勉強するといいです。
ステップ3:問題を解きまくる
過去問や問題集を何度も、覚えるぐらい解きまくっていきましょう。
特に、過去問は何年分もたくさんやると良いと思います。
全く同じ問題はでないですが、似たような問題や傾向をつかむのに、過去問はとても有効です。
参考書でインプットしたら、過去問や問題集でアウトプットするという流れで勉強を進めると、定着が図れると思います。
日本語教育能力検定試験との違い
先ほど述べた通り、この2つの違いは国家資格かどうかです。
登録日本語教員試験は国家資格ですが、日本語教育能力検定試験は民間の資格です。
ただ、どちらも試験の出題範囲は同じで、かなり似たような試験のようです。
どちらを受験すべきか
これは、ご自身が日本語教師になってどのような人や場所で教えていきたいかによってか変わります。
- 登録日本語教員試験は「留学生」を対象とした日本語学校で勤務をする際は必須になります。逆に言うと、「留学生以外」に教える場合は、必須ではありません。
- 日本語教育能力検定試験合格は、有資格の日本語教師になれる方法の一つです。日本語教師養成講座を受講しなくても、試験に合格すれば有資格となれます。
日本語教師と一概に言っても、どこで誰に何を教えるか本当に幅広いです。
下記はあくまでも一例です。
【学習者】
- 留学生
- 生活者
- 子ども
- 学生
- 大人
- 日本に住んでいる人
- 海外に住んでいる人
【教える場所】
- 国内の日本語学校
- 海外の日本語学校
- オンライン
- 公民館等
- 小中学校
【学習者の目的】
- 趣味
- 日本の学校へ行きたい
- 日本で働きたい
- 日本人と結婚する
- 旅行で使いたい
- JLPTに合格したい
【日本語レベル】
- ゼロ
- 文字が読めるor読めない
- ちょっと話せる
- 日常会話レベル
- ビジネスレベル
- ネイティブレベル
学習者のレベルや目的に応じて、使用する教科書やレッスン形態など変わってきます。
日本語教師のキャリア
日本語教師は、キャリアを築いていけるのか見ていきましょう。
ただ、ここで紹介するのは、一例にすぎません。
日本語教師としての活躍の場は、幅広くご自身の強みと掛け合わせて、様々な分野で活かせます。
登録日本語教員としての就職先
登録日本語教員となれば、どんな日本語学校でも勤務することが可能となります。
また、留学生以外を対象とした学校でも、登録日本語教員であれば、一定の知識を身についているという証明になりますので、プラスになることはあるのではないかと想像します。
また、フリーランス日本語教師として、オンライン等でレッスンを行っている方でも、「国家資格保有」となるため、学習者さんの獲得に有利になる可能性は大きいです。
日本語教師として日本語を教えるだけでなく、キャリアアップとして下記のような事へ幅を広げることもできます。
- 外国人雇用
- やさしい日本語
上記のような事も、日本語教師と関連のある内容です。
まとめ
今回は、日本語教師の国家資格「登録日本語教員試験」について、実際に受験された方の感想を含めて、ご紹介しました。
難しいと感じる箇所もあるようですので、しっかりと勉強をするといいのかな、という印象です。
留学生に教えないという方でも、「国家資格所有者」という肩書がつきますので、持っていて損はないと感じます。
興味のある方は、ぜひトライしてみてください。
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