日本語を教え始めたばかりの先生、初級学習者向けのクラスで、もっと効果的で楽しい授業を作りたいと考えていませんか?
多くの日本語学校や大学で採用されている教科書『げんき』(第3版)は、会話と文法をバランス良く学べる教材です。
しかし、「どのように教案を組み立てたらいいか分からない」「学生がもっとアクティブに参加できる授業にしたい」と悩む先生も少なくありません。
そこでここでは、私の実体験を元に、『げんき』を使った授業で役立つ教案作成のヒントと、すぐに使える無料ダウンロード教材を紹介します。
単なる文法説明に終わらない、学生の「できた!」を引き出す授業を作りたい方に読んでもらえると嬉しです。
【こんな人に読んでもらいたい】
- げんきの教科書を使って教えている/教えたい人
- 初級者向け日本語レッスンをしている/したい人
- 教案作成のヒントを探している人
この記事は、げんきのテキストをお手元に用意して照らし合わせてみると、より分かりやすい内容になっています。
げんき(GENKI)第8課の学習事項
初級日本語げんき第8課の学習項目は下記の通りです。
- Shot From(現在形)
- カジュアル会話
- SF(現在形)と思います
- SF(現在形)と言っていました
- ~ないでください
- 動詞+のが好きです
- 助詞「が」
- 何か/何も
第8課では、SF(現在形)を勉強します。ここで躓く人も多いですので、分かりやすく伝えられるよう、先生ご自身が事前にしっかり理解しておく必要があります。
げんきでは、辞書形からの変換になりますので、ます形からの変換に慣れている人は、途中で混乱しないように気を付けましょう。
①Short Form(現在形)
まずは、Short Form(現在形)の作り方を勉強します。
SFは形容詞・名詞もありますので、盛りだくさんです。
板書したりパワポで見せる際も、見やすい・分かりやすい様に提示できると◎です。
プライベートレッスンなら、学習者さんの様子を見ながら、大変そうだったら、少しずつ練習していってもいいともいます。
第9課では、SF(過去形)を勉強しますので、ここで定着が浅いと後でより混乱してしまう可能性が高くなります。
学習者さん第一で、その方に合った進め方を見つけられると良いですね。
不規則な動詞
- 「ある」→「ない」
- 「買う」→「買わない」
- 「いい」→「よくない」
※「かっこよくない」「かわいくない」
下記⇓にて、動詞の変換に使える教材を販売しております。
初めて教える方・授業準備の時短をしたい方などにおすすめです!
一度購入すれば、修正・変更等自由にでき、長く使えるものになっています。
興味があったら、チェックしてみて下さい^ ^

げんきのサイトにも、追加アクティビティがありますので、必要に応じて使用してみて下さい。
②カジュアル会話
ここでは、SFを使った会話練習をします。
まず、カジュアル会話はどういった相手とどのような状況でするのかを伝える必要があります。
名詞・な形容詞の「だ」は言わないという事を伝えます。
「これ、きれいだね」「これ、きれいだよ」など最後に「ね・よ」をつけたり、「これ、きれい」と言う事はありますが、「これ、きれいだ」は不自然ですよね。
カジュアル会話がスムーズできるようになるのには、時間が必要です。
変換を考えていて、止まってしまったり、「うん」を「はい」と言ってしまったり、特に否定形は、結構考えてしまう人が多い印象です。
短くても良いので、ちょっとでも自然なスピードで言えるように練習できると良いです。
【会話練習例】
A:○○さん、ラーメン好き?
B:うん、好き。
A:じゃあ、こんど たべに行かない?
B:いいね。行く!
③SF(現在形)と思います
いつ「と思います」という文を使うかを考えて導入しましょう。
確信がある時には使いませんよね。
例えば、日本の地図の絵を使ったとして、みんながそれを日本だと分かる時、「これは、日本だと思います」とは言いませんね。「これは、日本です」と言い切るのではないでしょうか。
同じ日本の地図を使っても、例えば、どこかの都道府県を示して、「ここは、どこですか」と聞いて、学習者さんが100%自信/確信がなければ、「○○だと思います」と答える事はOKです。
いつ「と思います」を使うのか、「○○です」との違いは何か考えてみると良いと思います。
「~ないと思います」「~と思いません」
英語だとI don’t think~になるので「~と思いません」と言う事も想定されますが、日本語は「~ないと思います」の方が使われる傾向があります。
【例】
明日は、晴れないと思います。
明日は、晴れると思いません。
④SF(現在形)と言っていました
ここでは、自分と相手以外の他の誰かの言っていた事を伝える練習をします。
グループレッスンならやりやすいのですが、プライベートレッスンだと、先生と学習者さん2人しかいないので、「○○と言っていました」という文を自然に作り出すのが、結構難しいと感じます。
そこで私は、リスニングをして、「メアリーさんは、××と言っていました」などと練習したりしています。
この時使うリスニングは、簡単な物でOKです。
目的は聞き取れて「××と言っていました」という文を言ってもらう練習ですので、リスニングが難しすぎて、聞き取れないと、練習になりません。
げんきのテキストの最初の方の課の会話の一部を流すと復習にもなったりするので、個人的にはおすすめです。
⑤~ないでください
ここでは、第6課で勉強した「~てはいけません」との違いについて伝えておくと◎です。
ない形+でください
の形ですが、直前にSFを勉強していますので、SFの否定(動詞のみ)と同じである事を伝えると、学習者さんは安心すると思います。
「~ないでください」VS「~てはいけません」
どちらも禁止を表す表現ですが、「~ないでください」には「お願いします」という気持ちがあります。
「~てはいけません」は、「お願い」ではなく「絶対に守らなければいけない規則・ルール」を伝える時に使う強い表現です。
一方「~ないでください」も「守るべき規則・ルール」に使えますが「お願います」「ご協力してください」という気持ちがあります。

⑥動詞+のが好きです
第5課で「名詞⁺が好きです」というフレーズを勉強していますので、まずは学習者さんに「○○が好きです」とたくさん言ってもらうと良いかと思います。
テニスが好きです。
スポーツが好きです。
日本が好きです。
など色々出て来るかと思います。そのうち、1つを使って「テニスが好きです。テニスを見ますか?テニスをしますか?」と聞いてみます。
恐らく学習者さんは「テニスをします」と言うと思います。(見ますでももちろんOKです)
その後先生が「テニスをします。好きです。テニスをするのが好きです」と導入すると割とスムーズにいくと思います。
辞書形+のが好きです
直前でSFを勉強していますので、SFの肯定(動詞)と同じであることを伝えると良いと思います。
げんきのサイトにも、追加アクティビティがありますので、必要に応じて使用してみて下さい。
⑦助詞「が」
助詞は難しく、ここで助詞「が」について詳しく説明すると、学習者さんも混乱し、先生も説明に追われてしまう事が予想されます。
テキストにある範囲内での練習で十分です。「誰が○○ですか」と「人+が」のみです。
ここでも、グループレッスンなら色々聞いてみると楽しいと思いますが、プライベートレッスンだと「誰が○○ですか」という質問が使えませんよね。
なので、学習者さんの家族や会社の同僚についてなど、複数人数いるであろう環境の人たちについての質問をするなど、ちょっと工夫してみると良いです。
【質問例】
①(かぞくで)だれが りょうりをつくるのが じょうずですか。
②(かぞくで)だれが かみがながいですか。
③(かぞくで)だれが スポーツするのが じょうずですか。
⑧何か/何も
「何も⁺否定形」が使われます。
時々聞かれる質問は「何か」と「何を」の違いです。
説明するより例文を出すと理解しやすいかと思います。
- 昼ご飯は、何を食べましたか。
- 昼ご飯は、何か食べました。
①の答えは「おにぎりを食べました」「サンドイッチを食べました」など具体的な答えが想像できます。
②の答えは「はい、食べました。」「いいえ、食べませんでした」など、Yes/Noの質問になっています。
①は、「食べた」という事を知っていても、具体的に食べた物は知らない時に使います。
②は、そもそも「食べた」かどうか分からない時に使います。
絵カード&イラスト
初級の時は、絵カードやイラストを有効に活用して、目からの情報もたくさん取り入れると◎です。
げんきのテキストは対応している絵カードがありますので、購入してみても良いと思います。
その他、私のサイトにもイラストがあり無料ダウンロードできますので、良かったら使ってください。


無料PDFダウンロード教材
第8課で勉強した文型を使ったQAを考えてみました。
良かったら参考にしてみて下さい。
