日本語学習において、ゼロ初級者の躓くことの一つに「文字学習」があります。
日本語はローマ字を使用しない言語であるため、一から日本語の文字「ひらがな・カタカナ」を覚える必要がありますよね。
子どもや若い方なら苦労せずに覚えられるかもしれませんが、大人の方は、文字学習で苦労する人は多々います。
そこで今回は、今までの経験でよくある躓くポイントをご紹介します。
また、学習者さん本人にも独学で使ってもらえるように「ひらがな・カタカナ」の学習教材を作成しました。
この記事の文末にて、無料でダウンロードできます。
ここでダウンロードできる「ひらがな・カタカナ」の学習教材は、大人の非漢字圏の方の使用を想定しています。そのため、一部ローマ字や英語も表記もあります。
【こんな人に読んでもらいたい】
- 「ひらがな・カタカナ」の無料学習教材が欲しい人
- ゼロ初級者に文字レッスンをする予定の人
- 文字学習の躓きやすいポイントを知りたい人
文字学習の進め方
文字学習の進め方は色々あると思いますが、ここでは、私がやってきていいなと思った方法をご紹介します。
- ある程度の自習はお願いする
- ゼロ初級者向けのテキストを平行して行う
- 単語を読んでもらう練習をする
それぞれ少し詳しく見て行きましょう。
①ある程度自習してもらう
学習者さんの中には、自習の時間が取れないという人も居ますが、経験上、文字学習においては、ある程度の自習してもらえると、より進みが早いです。
予習だけ、復習だけでも構わないので、やはりレッスン以外の時間でも、文字を見て覚えていかないと、中々定着しません。
レッスン時間内だけで文字を覚えられたという人は、今まで出会った事がありません。
どうしても、自習の時間が取れないという人は、状況によっては、文字学習をしない方向でレッスンを進めてみても良いかもしれません。
みんなの日本語 初級I 第2版 本冊 ローマ字版なら、ローマ字のみでも文法積み上げで学習が可能です。
レッスン中でも自習用でも使えるフラッシュカードで、クイズレット(quizlet)というサイトがあります。
無料で利用できますし、既に他の人が作成したフラッシュカードも使用できます。
②ゼロ初級者向けテキスト
文字学習だけレッスンやるのは、さすがに先生も学習者側も苦痛ですよね。
また、一向に文字しかレッスンで教えてもらえないというのも、学習者さんのモチベーションが続かない恐れがあります。
そこで、私はゼロ初級者でも使えるテキストを使用してレッスンをしています。
色々ありますが、私のおすすめは、NIHONGO FUN & EASYというテキストです。
英語・ローマ字表記があり、本当に日本語力がゼロの人でも難しすぎず進める事ができます。
③単語を読む
子どもなら、単純に文字を読むだけでも良いのかもしれませんが、大人向けに文字学習をする際は、ひたすら文字だけを読んでもらうのは、子ども扱いされていると思われてしまう可能性があります。
そこで、私のおすすめは、既習文字で単語を作って読んでもらう事です。
あ行だけでも「うえ(上)」「いえ(家)」など単語が作れるので、語彙力アップにも繋がり一石二鳥です。
促音(小さい”つ”)について
日本人にとっては何の問題も感じない「小さい”つ”」ですが、これは結構難しいんです。
「小さい”つ”」を教える際は、拍数で伝えると良いと思います。
例えば「にっぽん」で考えてみましょう。
「にっぽん」の拍数は4拍ですよね。言いながら手で叩いて拍を伝えましょう。
初めての人は「にぽん」と3拍になる傾向が高いです。
ひらがなの注意点
ひらがなを教える際に、是非下記の事もポイントとして伝えてみてください。
①母音の長音
母音の「あいうえお」の音を伸ばす際、少し注意点があります。
例えば、「高校(こうこう)」ですが、発音する際は「こーこー」という音になりますよね。
でも、ローマ字で書くと「KouKou」となり、発音する時に「こうこう」と「う」をちゃんと読んでしまう事がよくあります。
ルールとしては、ローマ字表記にして、2つの母音が連続した場合、後の母音は前の母音の伸ばす音、つまり長音となります。
高校(こうこう)は「KouKou」で「ou」が連続した母音になります。
この場合は「u」は「o」の伸ばす音、つまり長音となり「KōKō」となります。
他にも少し例を見て行きましょう。
お母さん:「Okaasan」→「aa」が連続した母音のため「Okāsan」
先生:「Sensei」→「ei」が連続した母音のため「Sensē」
言います:「Iimasu」→「ii」が連続した母音のため「īmasu」
一部例外があります。
お姉さん:「Oneesan」→「ee」が連続しているが「おねえさん」と「え」を言う
大阪:「Oosaka」→「ee」が連続しているが「おおさか」と「お」を言う
他にも例外はあります。
②助詞「は」「へ」「を」
助詞「は」「へ」「を」に関しては、読み方を伝える必要があります。
そうでないと、ひらがな通り「は→ha」「へ→he」「を→wo」と言ってしまいます。
ローマ字表記をする際は、実際の音で書くと良いです。
【例】
私 は 本 を 読みます。
watashi wa hon o yomimasu.
日本 へ 行きます。
nihon e ikimasu.
③似ている文字
ひらがなの中には、似ている文字がありますよね。
これは、割とみんな混乱しますので、ある程度ひらがな学習が進んだら、似ている文字を並べて読んでもらうなどしてみると、ゲーム感覚で楽しんでもらえるかもしれません。
- ね・れ・わ
- ぬ・め
- ろ・る
- さ・ち
- ほ・は
- た・に
- け・り …など
④字体
パワポなどPCで教材を作成する際の字体は「教科書体」にしましょう。
これは、教科書と同じ字体なので、学習者さんの混乱を回避しやすいです。
ゴシック体や明朝体だと、角に小さな三角があったりして、それを一生懸命真似して書いてしまう人がたまにいます。
字体によって混乱する可能性があるので、初級のうちは「教科書体」で揃えると良いです。
文字がスラスラ読めるようになってきたら、わざと違う字体を紹介してみても面白いかもしれませんね。
カタカナの注意点
カタカナでも、いくつか事前に伝えておくと良いポイントがあります。
①長音表記「ー」
カタカナの長音記号「ー」は、初めて見る人もいるので、伸ばす事である点を伝えましょう。
難しくはないので、いくつか例を挙げて伝えるとすぐに理解してもらえると思います。
【例】
- コーヒー
- スキー
- ノート
- ゲーム
- デート
- タクシー …など
たくさんありますが、できるだけ英語を似たような発音の物や簡単な物を例に挙げるようにしましょう。
以外と「チョコレート」は難しかったりしますので、(英語では発音が異なるため)避けた方が無難です。
②外来語の特殊表記
カタカナの難しい点の一つに外来語の特殊表記がある点があります。
「ウォッカ」「ヴァイオリン」「ディズニーランド」など、小さい「ャ・ュ・ョ」以外にも、小さい文字に変化する場合がありますよね。
ここは、結構みんな読めないor書けない躓きポイントです。
色んな例を挙げて伝えてみましょう。
【例】
- シェークスピア
- クェート
- フィレンツェ
- チュニジア
- ゴールデンウィーク
- フォークソング …など
無料ダウンロード
ひらがな・カタカナの文字学習、一見簡単そうに思えるかもしれませんが、実は細かいルールがあったりして、初心者の中には、躓く人がいます。
ここで躓いて、日本語が嫌いにならないように、難しくないように教えていくのも先生の力だと思います。
もし必要であれば、私が作成したひらがな・カタカナの表をダウンロードして使ってみて下さい。
学習者さんの自習用として配っていただいても構いません。
何かお役に立てれば幸いです。
〈サンプル〉
\無料ダウンロード/