日本語教師になるには、現時点では下記の3通りがあります。
①「日本語教育能力検定試験」合格
②「日本語教師養成講座420時間」修了
③大学・大学院で「日本語教育主専攻(または副専攻)」修了
どのルートでも問題ありませんが、③の大学や大学院にて日本語専攻ではなかった方の方が多いため、①日本語教育能力検定試験に合格するか②日本語教師養成講座を修了するか(もしくは両方取得)で日本語教師になられている先生が多い印象です。
私は、まずは日本語教師養成講座を受講し日本語教師になって、その後日本語教育能力検定試験を受験しています。
日本語教育能力検定試験の合格率は30%前後ですので、決して簡単ではありません。
まだ、試験は毎年10月に1回のみですので、ここで失敗するとまた1年待たなければいけません。
そのため、日本語教師養成講座を修了するのを目指した方が確実に日本語教師になれます。
そこで今回は、日本語教師養成講座の受講を検討している人向けに、受講のメリット、修了後に得られる事などを、私の経験も交えてご紹介していきます。
【こんな人に読んでもらいたい】
日本語教師養成講座の受講を検討している人
日本語教師になりたい人
日本語教師養成講座のメリットを知りたい人
日本語教師養成講座受講のメリット5選
まず、日本語教師養成講座を受講する事のメリット5つをご紹介します。
私が受講して、良かったと思える点です。
このメリットは、日本語教育能力検定試験を独学で勉強した場合は、中々得られない物だと思います。
①教え方を学べる
これ、当たり前じゃんと思うかもしれませんが、日本語教師養成講座の先生方は経験豊富な方で、今までの経験を踏まえ、どうやるとより良いレッスンができるのかを惜しげなく教えてくれます。
私の講座を担当してくださった先生方は、本当に聞けば何でも教えてくれました。
独学で本を読んで勉強するだけでは学べない様な、ちょっとしてアドバイスやコツなども聞けます。
養成講座では、日本語学校の様子や留学生の事など、リアルな情報を常に感じることができます。
私が印象に残っている事の1つに「水道屋さんの磁石」があります。
日本語学校でレッスンをする際、黒板(ホワイトボード)に紙を貼ったり、「て形」など書いた紙の裏に貼る様の磁石。
100円ショップでも買えますが、時々ポストに入っている、水道屋さんの磁石は無料だし、また、ちょうどいい大きさなんです。
皆さんも家に磁石が入ってたら、活用してみて下さいね。
②実習で経験を積める
日本語教師養成講座では、教壇に立つ実習科目があります。
人前に立つことに慣れていない人にはもちろんの事、今まで、会社でプレゼンなどを多く経験してきた人でも、人に教えるとなると、また違うので、養成講座を選ぶ際は、実習がどのぐらい充実しているかを確認すると良いと思います。
私が通っていた学校は、最後に実際にその学校の日本語学校に通っている生徒さんを前に教育実習がありました。
それまでは、同じ養成講座に通う人達を前に実習をしてきたので、正直、お互い分かり合える部分がありました。
ですので、教育実習の当日は、ものすごく緊張しましたし、行っている時(15分~20分程度だったと思います)は、心臓が飛び出しそうでした。
この時は、緊張でやりたくなかったですが(笑)日本語教師になるための面接の際の模擬授業で特に役に立ったと思います。
少しでも実際の生徒さんをイメージして模擬授業を行う事ができたかな?と思います。
③養成講座の先生に質問できる
先に書いた通り、授業中に養成講座の先生に質問ができるのは、どこの学校も同じだと思います。
学校や先生によっては、メールアドレスを教えてくる事もあり、授業以外でも、質問をする事が許されている事もあります。
正直、授業中は、初めて聞く内容ばかりで、質問するまで自分の中でまとめ切れていない事が多く、家に帰って復習をしていると、急に分からない事が出て来たりします。
そんな時に、次回の授業まで待たなくても、メールしてすぐに解決する事ができます。
これは、学校や先生によって方針が異なると思います。
事前に確認をするようにしてください。
④国内外での就職へのサポート
学校によっては、養成講座修了後(場合によっては受講中から)、就職サポートを行ってくれる事もあります。
多くは、大規模校が行っているようです。
日本語教師養成講座を修了したら終わりなのではなく、ここでようやくスタートに立てるので、就職しない修了した意味がありませんよね。
希望する働き方や場所によっては、就職で苦労される方もいます。
サポートが受けられるのであれば、多いの活用すると良いと思います。
学校によっては、日本語教師養成講座受講中の成績が良かったりすると、修了後、その学校で働かないかと声がかかります。
実際に、私と同じ時期に授業されていた方は学校から声がかかり、その学校で日本語教師をされています。
⑤仲間ができる
今になった思えば、ここが一番良かった点かもしれません。
日本語教師は、所謂中途採用と似ているので、同期がいない事が多いです。
また、同じ時期に同じ学校に入っても、働く曜日が異なったりすれば、交流が少ない事も珍しくありません。
そのため、日本語教師になった後、相談したり、話をしたりする相手が居なくなってしまう事があります。
日本語教師養成講座は、クラス制で行っている学校も多く、一定期間一緒に受講していれば、自然と仲良くなる傾向です。
同期が居るのは、とても心強く、養成講座を受講した際には、絆を深めておく事をおすすめします。
修了後の大きなメリットの一つだと感じます。
私自身、当時同じクラスだった人達とは、未だに交流があり、日本語教師に関する事だけでなく、一友人として、仲良くさせてもらっています。
日本語教師養成講座の学習内容
日本語教師養成講座には、文化庁届出済みの講座というものがあり、これは文化庁が定める学習内容を網羅している講座という意味になります。
簡単に言えば、一定の基準をクリアしているという事になります。
場合よっては、求人に「文化庁届出済み日本語教師養成講座420時間修了」と明記されている事もあるため、やはり、文化庁届出済みの養成講座を受講したい方が良いと思います。
ただ、文化庁届出済みの講座は割と高めの受講料です。中には、割安の日本語教師養成講座がありますが、よく見ると文化庁届出済みではない事もあります。
どちらを選んでも問題はありませんが、個人的には、文化庁届出済みの方が良いと思います。
420時間の講座詳細
かなり細かく決まっておりますので、全て気になる方は、日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)をご参照ください。
社会・文化 地域 | ①世界と日本 | (1)世界と日本の社会と文化 |
②異文化接触 | (2)日本の在留外国人施策 (3)多文化共生(地域社会における共生) |
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③日本語教育の歴史と現状 | (4)日本語教育史 (5)言語政策 (6)日本語の試験 (7)世界と日本の日本語教育事情 |
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言語と社会 | ④言語と社会の関係 | (8)社会言語学 (9)言語政策とことば |
⑤言語使用と社会 | (10)コミュニケーションストラテジー (11)待遇・敬意表現 (12)言語・非言語行動 |
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⑥異文化コミュニケーション と社会 | (13)多言語・多文化主義 | |
言語と心理 | ⑦言語理解の過程 | (14)談話理解 (15)言語学習 |
⑧言語習得・発達 | (16)習得過程(第ー言語・第ニ言語) (17)学習ストラテジー |
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⑨異文化理解と心理 | (18)異文化受容・適応 (19)日本語の学習・教育の情意的側面 |
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言語と教育 | ⑩言語教育法・実習 | (20)日本語教師の資質・能カ (21)日本語教育プ口グラムの理解と実践 (22)教室・言語環境の設定 (23)コースデザイン (24)教授法 (25)教材分析・作成・開発 (26)評価法 (27)授業計画 (28)教育実習 (29)中間言語分析 (30)授業分析・自己点検能カ (31)目的・対象別日本語教育法 |
⑪異文化間教育とコミュニーケーション教育 | (32)異文化間教育 (33)異文化コミュニケーション (34)コミュニケーション教育 |
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⑫言語教育と情報 | (35)日本語教育とにICT (36)著作権 |
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言語 | ⑬言語の構造―般 | (37)一般言語学 (38)対照言語学 |
⑭日本語の構造 | (39)日本語教育のための日本語分析 (40)日本語教育のための音韻・音声体系 (41)日本語教育のための文字と表記 (42)日本語教育のための形態・語葉体系 (43)日本語教育のための文法体系 (44)日本語教育のための意味体系 (45)日本語教育のための語用論的規範 |
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⑮言語研究 | ||
⑯コミュニケーション能カ | (46)受容・理解能カ (47)言語運用能力 (48)社会文化能カ (49)対人関係能力 (50)異文化調整能カ |
これらの内容は、登録日本語教員試験でも問われる内容と似ています。
2024年(令和6年)11月から開始される日本語教師の国家資格「登録日本語教員」試験を受ける予定の方は、日本語教師養成講座でしっかり学んでおくと役立ちます。
通学と通信コース
日本語教師養成講座は、コロナ以降、オンライン(一部通学の場合もあり)のみでも受講できる学校が増えました。
遠方に住んでおり、通うのが難しい方も、受講しやすくなっています。
私自身、会社員をしながらオンライン(土曜日のみ通学)というコースで通って資格を取得しましたが、オンラインでもかなりの量の動画を視聴できました。
また、質問があってもすぐに質問できる体制も整っていた学校だったので、オンラインでもしっかり勉強ができました。
下記に通学とオンライン(一部通学を含む)のメリット&デメリットをまとめました。
通学 | オンライン | |
メリット | 学校の雰囲気を肌で感じれる | スキマ時間の有効活用ができる |
デメリット | 修了まで決まった日程で 通わなければいけない |
ダラダラしたり、先延ばしにして終わらない (可能性がある) |
どちらでも、学ぶ内容は同じですので、ご自身に合った方がを選ぶと良いと思います。
日本語教育能力検定試験対策
こちらは、学校のよって講座がある所とない所がありますが、日本語教育能力検定試験の体躯策講座も併設している場合もあります。
日本語教育能力検定試験の内容は、日本語教師養成講座で学ぶ内容と類似している所もありますが、より重点的に、検定試験合格に向けて勉強したい人は、とっても良いと思います。
日本語教育能力検定試験も合格していると、働く学校によっては、少しばかり時給がアップする事もあります。
合格率は毎年30%前後で、決して簡単ではないため、しっかりと勉強した方が良いです。
日本語教師養成講座の費用と支援制度
日本語教師養成講座は、決して安くはありません。
文化庁届出済みの日本語教師養成講座420時間ですと、安くても50万円程度はします。
平均的に60万~80万円程度かと思われます。
文化庁届出済みの日本語教師養成講座ではない講座であれば、もっと安く受講できる場合もあるようです。
少しでも費用を安く抑えたい人は、ハローワークの職業訓練をチェックしてみて下さい。
お住いの地域のハローワークに日本語教師養成講座があれば、かなり安く(教科書代程度)受講することができます。
ハローワークの職業訓練での日本語教師養成講座は、費用は安いですが、通う期間や日程は決まっており、平日の昼間のコースが対象となってい事が多いようです。
また、オンライン(通信)コースではなく、通学コースが対象のようです。
日中は仕事をされている方などは、利用するのは難しいかと思います。
キャッシュバックや奨学金支援について
平日の日中は、仕事などで通うのが難しい。でも、少しでも安く日本語教師養成講座に通いたい!
そんな方に朗報です。
経済産業省が行っている「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」に、1校日本語教師養成講座を展開している学校が登録されていました。
新宿、梅田/なんば/枚方、京都、神戸に校舎を持つKEC日本語学院の日本語教師養成講座は、リスキリング(学び直し)支援対象になります。
KEC日本語学院の日本語教師養成講座は、他の学校よりも実践講座に重きを置いており、たくさん実習練習をすることができます。
私自身、日本語教師養成講座を受講して(別の学校です)、実習がとても大切だと実感しています。
ですので、たくさん練習ができるのは、とても良い事ですし、ここでたくさん間違いをしておけば、日本語教師になった時の心配事が少し軽減される事もあるかもしれません。
気になった方は、無料個別受講相談を受けてみてはどうでしょうか。
無料ですので、情報収集するだけでもOKです。
日本語教師養成講座は、色々な学校の情報を入手して、比べて、よりご自身に合った所を決めると良いと思います。
まとめ
今回は、日本語教師養成講座を受講するメリットや、少しでも安く通える方法をご紹介しました。
【日本語教師養成講座修了後のメリット】
- 実習経験が積める
- 事前に、リアルな日本語学校の雰囲気を味わえる
- ベテラン先生に色々な質問ができる
- 仲間(同期)が作れる
決して安くはないですが、私自身、日本語教師養成講座を修了し、すごく良かったと思います。
独学だけでは学べない事がたくさんありますし、また、日本語教師になる前に、色々な経験をしておくのも、なってからプラスになります。
この記事が、少しでもお役に立てれば幸いです。