日本語教師をしていても「日本語教育関連機関」全てに関わったりする機会は少ないため、聞きなれない機関もあるかもしれません。
しかし、日本語教師の国家資格試験「登録日本語教員」試験でも、出題される可能性はあります。
そこで今回は、「登録日本語教員」試験を受けなくても、日本語教師をしていて、知っておくと何か役に立つことがあると思う機関を9つ紹介します。
【こんな人に読んでもらいたい】
- 登録日本語教員試験を受ける人
- 日本語教師の人
- 日本語教育関連機関を知りたい人

関連機関一覧
まず、最初にこの記事で紹介する機関を見ていきましょう。
- 海外産業人材育成協会(AOTS)
- 国際協力機構(JICA)
- 国際交流基金(JF)
- 国立国語研究所
- 日本学生支援協会(JASSO)
- 日本国際教育支援協会(JEES)
- 日本語教育振興協会
- 日本貿易振興機構(JETRO)
- 文部科学省
(五十音順)
上記の機関は、日本語教師として参考にできるサイトやデータが見れたり、時には求人情報などの情報を得る事もできます。
日々のレッスンに直接関係がなくても、知っておくと役に立つこともあるかと思います。
でも、次にそれぞれの機関の役割や特徴をみていきましょう。
海外産業人材育成協会(AOTS)

主に開発途上国を中心とした海外の産業人材に対し、日本の産業技術や経営ノウハウの研修を提供することで、その国の経済発展に貢献することを目的としています。研修の一環として、日本での生活や企業活動に必要な日本語教育も行っています。
[特徴]
技術研修と併せて、実践的な日本語能力の習得を重視しています。
研修対象者は、企業の幹部候補生や技術者などが中心です。
看護師・介護福祉士候補者の受け入れにも関わっています。
国際協力機構(JICA)

開発途上国への国際協力を行う外務省所管の独立行政法人です。技術協力、資金協力、ボランティア派遣など、様々な協力活動を通じて、開発途上国の経済社会開発に貢献しています。
[特徴]
技術協力の一環として、相手国のニーズに応じて日本語教育を支援することがあります。これは、技術移転やプロジェクトの円滑な実施のために行われることが多いです。
ボランティア派遣(青年海外協力隊など)においても、日本語教師の派遣を行っています。
定期的に募集がありますので、興味がある方はチェックしてみて下さい。
国際交流基金(JF)

日本と諸外国との文化交流を総合的に行う外務省所管の独立行政法人です。日本語教育、日本研究、芸術文化交流など、幅広い分野で国際交流事業を展開しています。
日本語教師のレッスンでも「まるごと」や「いろどり」のテキストを使用されている方もいるかと思います。
また、海外で日本語教師をしたい方は、日本語パートナーズや日本語教師の募集などが定期的にありますので、求人情報を参考にしてみて下さい。
[特徴]
海外の日本語教育機関や日本語教師への支援(教材提供、教員研修、専門家の派遣など)を幅広く行っています。
日本語能力試験(JLPT)の実施運営(海外)を行っており、海外における日本文化の紹介や、日本研究の推進も重要な活動です。
世界各地に海外事務所を持ち、グローバルなネットワークを築いています。
国立国語研究所

日本語に関する総合的な研究を行う国立の研究機関です。現代日本語の調査・研究、日本語教育に関する研究、多言語社会における言語研究など、幅広いテーマに取り組んでいます。
国立国語研究所といえば、コーパス(日本語の自発音声を大量にあつめて多くの研究用情報を付加した話し言葉研究用のデータベース)の研究をしており、興味のある方もいるのではないでしょうか。
それ以外にも興味深いデータや資料も掲載されています。
[特徴]
日本語教育に関する基礎研究や応用研究を行っており、研究成果は日本語教育の質向上に貢献しています。
日本語教育に関する様々な情報や資料を公開しています。
日本語教育関係者向けの研修会やセミナーなども開催しています。
日本学生支援機構(JASSO)

日本の学生に対する経済的支援、留学生交流の推進、就職支援など、学生生活全般をサポートする日本の独立行政法人です。日本留学試験の実施も行っています。
[特徴]
外国人留学生に対する奨学金の支給や、日本での生活情報の提供など、日本への留学を支援する活動を行っています。
日本語学校に関する情報提供や、質の高い日本語教育を行う学校の認証評価などにも関わっています。
外国人留学生と日本人学生の交流を促進する事業も行っています。
日本国際教育支援協会(JEES)
日本への留学を支援する公益財団法人です。
日本語能力検定試験(国内)と日本語教育能力検定試験を実施しています。
[特徴]
上記試験以外にも、外国人留学生に対して、奨学金の給付を行ったり、日本文化理解のための活動なども行っています。
日本語教育振興協会

日本国内の日本語教育機関(日本語学校)の審査・認定などを行う一般財団法人です。
日本語教師の求人情報も多くはないですが掲載があります。
[特徴]
日本語学校の運営に関する調査研究、情報提供、研修活動などを行っています。
日本語学校の認証評価事業を行っており、質の高い日本語教育を提供する機関を認定しています。
日本語教育に関する政策提言なども行っています。
日本貿易振興機構(JETRO)
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日本の貿易振興と海外直接投資の促進、開発途上国への経済協力などを行う独立行政法人です。
[特徴]
海外のビジネス環境に関する情報提供や、日本企業の海外展開支援を主な目的としていますが、ビジネスに必要な日本語能力向上のためのセミナーや情報提供を行うことがあります。
AOTSと同様に、海外のビジネスパーソンに対する研修事業の中で日本語教育が組み込まれることがあります。
文部科学省
文部科学省は、日本の教育行政を担う府省として、日本語教育の分野においても重要な役割を果たしています。その活動は多岐にわたりますが、主なものとして以下の点が挙げられます。
国家資格のポータルサイトも文部科学省が運営しています。
2024年4月に、それまで文化庁が所管していた日本語教育に関する事務が文部科学省に移管され、文部科学省がより日本語教育政策を推進する体制となりました。
より詳細な情報は、文部科学省の日本語教育に関するページをご確認ください。
それ以外の関連機関
ここまで紹介した9つの機関以外にも、日本語教育に関する機関は下記の様な箇所が挙げられます。
- 地方自治体の国際交流協会: 地域に住む外国人住民向けの日本語教室や生活支援プログラムを提供している事が考えられます。
- 日本語学校運営企業: 全国展開している大規模な日本語学校グループなど
- 日本語教材出版社: 日本語教育のための教科書や教材を制作・販売している企業も、日本語教育の発展に重要な役割を果たしています。
- ボランティア日本語教室: 地域住民などが主体となって、外国の方に日本語を教える活動を行っている団体が多数あります。
これらの機関は、それぞれの目的や対象に応じて、日本語教育の様々な側面を支えています。ご自身の関心や目的に合わせて、これらの情報を活用していただければ幸いです。
まとめ
今回は、日本語教育関連機関を9つ紹介しました。
- 海外産業人材育成協会(AOTS)
- 国際協力機構(JICA)
- 国際交流基金(JF)
- 国立国語研究所
- 日本学生支援協会(JASSO)
- 日本国際教育支援協会(JEES)
- 日本語教育振興協会
- 日本貿易振興機構(JETRO)
- 文部科学省
ご自身の興味関心のあるサイトを見たりするだけでも、視野が広がり、日本語教育をより俯瞰して考えられると思います。
また、登録日本語教員試験の範囲でもありますので、受験予定の方は、覚えておくといいです。
