日本語教師って、本当に働き方が多様なんです。
大学講師、日本語学校(常勤・非常勤講師)、ボランティア、オンライン、フリーランスなど、自分に合った働き方ができるのも、日本語教師の魅力の一つだと感じます。
働き方が多様な分、給料にも幅があります。
そこで、今回は、文化庁のデータをもとに、日本語教師の現状、どんな働き方が多いのか、どれぐらいの給料が平均的なのかを見ていきましょう。
【こんな人に読んでもらいたい】
- 日本語教師になりたい人
- 日本語教師の働き方を知りたい人
- 日本語教師の給料を知りたい人
- 日本語教師のキャリアを考えたい人
日本語教師の働き方
令和4年の日本語教育実態調査報告書のデータによると、日本語教師の約半数の49%(21,568人)がボランティアとして活動されているとの事です。
つまり、無償で日本語を教えている人が半分いるという事になります。
一部、ボランティア団体では、謝礼がある場合もあるようですが、気持ち程度のようです。
このデータは、日本語教育機関からの回答を基にしているため、上記の数字には、フリーランスで日本語教師をしている方(個人でオンラインで日本語を教えている方)の人数は含まれていないと思われます。
どんな働き方があるの?
大きく分けると、日本語教育機関(大学や日本語学校、ボランティア団体等)に所属するか、しないかで分けられます。
【日本語教育機関に所属する条件】
- 資格を保有していること(ボランティアは必ずしもこうとは限りません)
下記のいずれか1つ以上を満たしている必要があります。
①「日本語教育能力検定試験」合格
②「日本語教師養成講座420時間」修了
③大学・大学院で「日本語教育主専攻(または副専攻)」修了
もし、現在、資格がない場合は、オンラインがメインの活動の場となります。
オンラインプラットフォームに登録したり、もしくはご自身でSNS等を駆使し、集客をするなどの方法があります。
ただし、オンライン日本語教師の中には、多くの有資格者がいますので、無資格のあなたのレッスンを取るメリットをアピールできると◎です。
日本語教師の給料
ここも皆さん、気になる点だと思います。多くの場合、時給またはコマ給となります。
常勤講師であれば、月給制や年俸制となりますが、そもそも常勤講師の割合が多くないため、時給またはコマ給となる可能性が大きくなります。
文化庁のデータは、かなり細かく示されているため、ここでは、それぞれ一番割合が多かった金額を示します。
時間給 | |
勤務場所 | 最も多い割合の金額 |
大学 | ¥5,000以上 |
法務省告示校 | ¥2,000~¥3,000 |
法務省告示校以外 | ¥2,000~¥3,000 |
より詳しく知りたい方は、文化庁令和4年日本語教育関係参考データ集を参照ください。
大学で講師となるには、日本語専攻の大学院卒など専門知識を要します。そのため、他より時給が良いです。
多くの日本語教師の方が¥2,000~¥3,000/時間で働いていると思われます。
一見、時給だけ見れば高いように感じるかもしれませんが、ここには、授業準備時間は含まれません。
特に、新米先生の頃は、レッスンの何倍も準備時間を要する可能性が大です。
レッスン以外の時間の方が長いなんて事は、全く不思議な話ではありません。
法務省告示校とは、法務省が日本語教育機関として定める学校の事で、一定の基準を満たす必要があります。主に、留学生の受け入れを行っています。(告示校リスト)
法務省告示校以外の学校は、留学生以外、日本にいる生活者や海外に住んでいる方などを対象としています。
受入れ対象者が異なりますが、日本語教師の採用基準は、変わらないと思います。
尚、留学生を対象に教えたい場合は、少し前のデータですが、全国の法務省告示校で、どんな学生を受け入れているのか、都道府県別でみることができます。(平成29年度日本語教育機関における外国人留学生への教育の実施状況)
昇給はあるの?
結論、あります。
ただし、決して大きい額ではありません。
私が以前勤めていた日本語学校では、上限が決まっており、上限に達すると、それ以上年数を重ねても変わりませんでした。
【求人例】
今まで、色々求人を見てきて、10年ぐらいで昇給の上限に達するように感じます。
ただ、これは、学校によって異なりますので、面接時など聞けそうであれば、軽く聞いてみてもいいと思います。
年収1000万ってホント?
これ、私が知っている日本語教師の方で1名、過去に年収1000万貰っていた方がいます。
ただし、これは、本当に一部の先生の話です。
日本にある日本語学校に勤務しているのでは、年収1000万円は難しいと思います。
日本語学校に勤務しつつ、個人でも活動したり、完全個人でフリーランスとして稼働したり、または、学校運営側に立ったりなどしないと、教壇になって日本語を教えているだけでは、正直、無理だと思います。
~年収1000万円貰っていた先生の話~
その先生は、私があった当時既に日本語教師歴25年でした。
数年前の話と言っていたので、日本語教師歴20年ちょっとぐらいの時だったのだと思います。
その先生は、あるアジアの国に旦那さんの仕事の関係で赴任し、その国の航空会社で、客室乗務員に日本語と日本のマナーを教えていました。
レッスンを受ける人は、その航空会社の客室乗務員で、日本語が既に話せる方々だったそうです。
それでも、より自然な日本語を話せるように、ビジネスクラスの日本人乗客とスムーズなコミュニケーションが取れるようになるために、日本語レッスンを航空会社が開いていたそうです。
毎日レッスンはあり、レッスン中は、航空会社の採用担当者も常に監督としていて、かなりの緊張の中、レッスンを行っていたそうです。
また、日本語だけでなく、マナーも教えていたそうで、その先生は、ご自身でも日本のマナーを勉強しながらで、とても大変だったと言っていました。
また、決まった時期までに、レッスンを受けている客室乗務員の方の日本語力を上げなければいけないというプレッシャーもありました。
「毎日のレッスン+日本のマナーレッスン」そして、厳しい監督の目がある状況でのレッスンは、かなり精神的に辛かったと言っていました。
この様な状況で、その先生は、年収1000万円程度貰っていた時があったそうです。
~おわり~
どうでしょうか。結構大変ですよね。
日本語教師として、年収1000万はかなり厳しいと思われます。
2024年11月から登録日本語教員試験が始まったので、もしかしたら、今後少し変化があるかもしれませんが、どうして、日本語教師の給料は高くならないのでしょうか。
日本語教師の給料が安いワケ
「日本語教師はオワコン」などとネットに書かれたりしますが、その主な理由が「給料が安い」点だと思います。
「給料が安い」考えられる原因3つ
- ボランティアの割合が高く、学習者は無料でも日本語のレッスンを受けれる環境がある。
- 日本語学習者層は、アジア圏が圧倒的に多く、経済的に高い金額にしずらい可能性がある。
- オンラインプラットフォームには、数多くの日本語教師がおり、集客のために価格競争をせざるを得ない状況がある。
もちろん、上記以外にも要因はあると思います。
しかし、業界的な事ですので、これを個人か変えることは、難しいですよね。
尚、ここで記載したことは、私が日本語教師をしていて感じた事です。
どこかに明記されている事ではありませんので、参考程度として目を通して頂けると幸いです。
まとめ
今回は、文化庁のデータをもとに、日本語教師の実態を見てきました。
【まとめると】
- 日本語教師はボランティアが約半数を占める
- 平均時給は2,000~3,000円
- 日本語教師の給料が安い事には背景がある
何か参考になることがあったら、嬉しい限りです。