日本語を教え始めたばかりの先生、初級学習者向けのクラスで、もっと効果的で楽しい授業を作りたいと考えていませんか?
多くの日本語学校や大学で採用されている教科書『げんき』(第3版)は、会話と文法をバランス良く学べる教材です。
しかし、「どのように教案を組み立てたらいいか分からない」「学生がもっとアクティブに参加できる授業にしたい」と悩む先生も少なくありません。
そこでここでは、私の実体験を元に、『げんき』を使った授業で役立つ教案作成のヒントと、すぐに使える無料ダウンロード教材を紹介します。
単なる文法説明に終わらない、学生の「できた!」を引き出す授業を作りたい方に読んでもらえると嬉しです。
【こんな人に読んでもらいたい】
- げんきの教科書を使って教えている/教えたい人
- 初級者向け日本語レッスンをしている/したい人
- 教案作成のヒントを探している人
この記事は、げんきのテキストをお手元に用意して照らし合わせてみると、より分かりやすい内容になっています。
げんき(GENKI)第10課の学習事項
初級日本語げんき第10課の学習項目は下記の通りです。
- 二項比較
- 三項以上の比較
- 形容詞/名詞+の
- ~つもり
- 形容詞+なる
- どこかに/どこにも
- 助詞「で」(手段)
第10課では比較級を勉強するので、また一段と話せることも増え、会話する機会をたくさん作れると良いです。
ここまで立て続けに新しい動詞の形の変換を勉強してきましたが、10課ではありませんので、まだSFが定着していない人は、引き続き練習をしていけるといいですね。
①二項比較
二項比較自体は難しくないのですが、文章を覚える必要があるので、言う練習が必要になるかと思います。
AのほうがBより(形容詞)です。
「AはBより」という言う方もできますが、ここでは取り扱わなくてもOKです。混乱する可能性があります。
単純に文章に言い慣れる練習として、最初に下記の様な練習を行ったりしています。

たまに、形容詞を忘れていて文章が中々作れない方もいますので、その際は、過去に勉強したものも合わせて、形容詞の復習をしても良いと思います。
言い方のバリエーションとしては「どちら」「どっち」「のほうが」「よりも」があるので、いずれも練習してもOKです。
単純に「Aの方が好きです」で終わらず、その理由まで聞くと、長い会話練習ができます。
げんきのサイトにも、追加アクティビティがありますので、必要に応じて使用してみて下さい。
②三項以上の比較
次は3つ以上の物を比較する言い方を勉強します。
Q:Category のなかで どれが いちばん (形容詞)ですか。
A:_____が いちばん(形容詞)です。
質問の疑問詞は「何・誰・どこ」などに変更できます。
二項比較と三項比較のミックス会話練習ができると、学習者さんもたくさん話せて楽しいと思います。
③形容詞/名詞+の
「私はげんきのワークブックを持っています。これは、私のです。」
2回目以降言う時の省略に使う「の」です。何が省略されているのか分かるように示すよう心がけれると◎です。
- 「名詞+の」は「のの」とならない
《例》メアリーさんのかばん→メアリーさんのの
- 「い形容詞+の」を入れない
《例》大きいのかばん
- 「な形容詞」は「なの」になる
《例》きれいなかばん→きれいなの
- 英語の「one」ではない
《例》I don’t have one.→ のを持っていません。
④~つもり
動詞の現在形(肯定・否定形)+つもり です。
動詞は、辞書形とない形が入りますので、ない形(SF動詞の否定形)を忘れている人もいる可能性はありますので、必要に応じて復習をしてみて下さい。
「つもり」と「思います」の違いについて
時々、聞かれる質問です。
「つもり」には「そうする」という強い意志があります。
「思います」はその場で思いついた、または、まだ確定していない先の行動について使います。また、個人的な意見、推量、判断を言う時にも使います。
⑤形容詞+なる
形容詞を使って「変化」を表す文法です。
- 名詞・な形容詞+になる
《例》きれいになる・会社員になる
- い形容詞+くなる
《例》大きくなる ※いい→よく
げんきのサイトにも、追加アクティビティがありますので、必要に応じて使用してみて下さい。
⑥どこかに/どこにも
「どこにも」は否定形になります。
Q:週末、どこかに行きましたか。
A:どこにも行きませんでした。
それ以外にも「誰か」「何か」も勉強します。
文法はそこまで難しくないですが、言い間違い(どこにか・どこもに等)をしないよう、QAをたくさんするなどして、話す練習ができると良いですね。
⑦助詞「で」(手段)
ここでは、手段の「で」と「(時間)かかります」を勉強します。
「歩いて」
新出語彙に「歩いて」があるため「電車と歩いてで、行きます」と言ってしまう方がたまにいます。
その際は「徒歩で」という語彙を導入して使ってもらうと自然です。
教科書では「電車で」という交通手段で使う練習しかありません。
しかし文法事項には「はしで」「日本語で」という交通手段以外の「で」もありますので、少し練習しても良いと思います。
絵カード&イラスト
初級の時は、絵カードやイラストを有効に活用して、目からの情報もたくさん取り入れると◎です。
げんきのテキストは対応している絵カードがありますので、購入してみても良いと思います。
その他、私のサイトにもイラストがあり無料ダウンロードできますので、良かったら使ってください。


無料PDFダウンロード教材
第10課で勉強した文型を使った練習問題を考えてみました。
良かったら参考にしてみて下さい。
