日本語を教え始めたばかりの先生、初級学習者向けのクラスで、もっと効果的で楽しい授業を作りたいと考えていませんか?
多くの日本語学校や大学で採用されている教科書『げんき』(第3版)は、会話と文法をバランス良く学べる教材です。
しかし、「どのように教案を組み立てたらいいか分からない」「学生がもっとアクティブに参加できる授業にしたい」と悩む先生も少なくありません。
そこでここでは、私の実体験を元に、『げんき』を使った授業で役立つ教案作成のヒントと、すぐに使える無料ダウンロード教材を紹介します。
単なる文法説明に終わらない、学生の「できた!」を引き出す授業を作りたい方に読んでもらえると嬉しです。
【こんな人に読んでもらいたい】
- げんきの教科書を使って教えている/教えたい人
- 初級者向け日本語レッスンをしている/したい人
- 教案作成のヒントを探している人
この記事は、げんきのテキストをお手元に用意して照らし合わせてみると、より分かりやすい内容になっています。
げんき(GENKI)第13課の学習事項
初級日本語げんき第13課の学習項目は下記の通りです。
- 可能動詞
- ~し
- ~そうです(様態)
- ~てみる
- なら
- 頻度
第13課からげんきⅡになります。新しいテキストのスタートで、学習者さんのモチベーションもアップしていると思いますので、いいスタートを切れるようにできると良いですね。
げんきⅠで勉強した文型や語彙もたくさん使って練習を組めると復習もできるので、より定着が図れます。
①可能動詞
新しい動詞の活用を学びます。
「見られる」「来られる」などは、「見れる」「来れる」のバージョンも練習しても良いですが、学習者さんが混乱しそうであれば、まずは、「見られる」「来られる」のバージョンのみで練習します。
- 「分かる(understand)」には可能形がないので、活用を勉強する際に付け加えてると◎です。
- 「できる」の助詞は「が」になります。
《例》テニスをします。→テニスができます。

げんきのサイトにも、追加アクティビティがありますので、必要に応じて使用してみて下さい。
「ことができます」との違いは?
時々質問を受けますので、聞かれたら答えられるようにしておけると良いです。
可能動詞は、能力・習熟度を伝える時に使い、「ことができます」は可能性・許可・条件を言う時に使います。
ピアノを弾けます:「練習して身につけた能力がある」「上手に弾ける」というニュアンスを含みます。
ピアノを弾くことができます:「物理的に弾くことが可能である」、「ここで弾く事が許可されている」ことを示すニュアンスを含みます。
また、「ピアノを習っていた人なら誰でもピアノを弾くことができます」のように、客観的な可能性を述べる場合にも使われます。
②~し
たくさん理由がある時に、使える文型です。
reasonし、reasonし、situation.
な形容詞・名詞は、「好きだし」「日本人だし」の様に「だ」が入ります。
理由が色々出て来そうな質問をすると、グループレッスンでも、様々な答えが出やすいかと思います。
《質問例》
- 今の仕事はどうですか。
- SNSはよく見ますか。
- 日本語の勉強は好きですか。
- げんきの教科書はどうですか。
③~そうです(様態)
- な形容詞・名詞は「元気そうです」「簡単そうです」など「な」「だ」は要りません。
- 「いい」は「よさそうです」となりますので、最初に伝えましょう。
教科書の文法説明には「おいしくなさそうです」など否定も説明されていますが、練習問題としてはありません。
学習者さんに余裕があったら練習しても良いですが、しなくても大丈夫です。
げんきのサイトにも、追加アクティビティがありますので、必要に応じて使用してみて下さい。
「かわいそうです」は何で言わないの?
「~そうです(様態)」は、目で見て「そうかな」と感じた時に使います。
例えば、レストランに行き食事が提供されて目の前に食べ物がある時「うわぁ~、おいしそう」と食べる前に言います。
しかし、食べたら味が分かり判断できるので「おいしい」と断言できますよね。
「かわいい」や「きれい」などは、目で見て判断できるので、「かわいそう」「きれいそう」は使いません。
もちろん、日本語ネイティブの人は、使ったりするかもしれませんが、現時点でここを勉強している学習者さんには「言いません」と伝えるのでOKです。
④~てみる
「したことのない時・初めての事」に使います。
まとめ練習として「~たことがありますか」を使ってQAをすると、したことがある人とない人に分かれて、楽しい練習ができると思います。
げんきのサイトにも、追加アクティビティがありますので、必要に応じて使用してみて下さい。
⑤なら
「なら」にはいくつか意味がありますが、ここでは、特定の状況や条件を指し示し、「〜という条件なら、」や「〜という場合なら、」という意味の際の使い方として習います。
複数(2つ以上)の条件があり、そのうちの1つ(多くても2つ)はOKというニュアンスです。
《例》
Q:ヨーロッパに行ったことがありますか。
A:イギリスなら行ったことがあります。
上記の質問の場合、ヨーロッパにはたくさん国があるけど、その中のイギリスだけは行ったことがあるという際に使います。
ヨーロッパ10か国に行ったことがある人は、「なら」では言いませんよね。
多くても2か国ぐらい(イギリスとフランスなら行ったことがあります)を言う際に使います。
対照の「なら」の場合、もう一方の文の助詞は「は」になります。
《例》
イギリスなら行ったことがあります。でも、他の国は行ったことがありません。
※「イギリスになら」と「に」を入れる事もできますが、ここでは、助詞を省いています。
⑥頻度
Period に Frequency
ここでは、日付の言い方を忘れている人もいるので、最初に復習をしても良いと思います。
(一週間・一か月・一年など)

《質問例》
- よく映画を見ますか。
- よく美容院に行きますか。
- 一日に何時間、仕事しますか。
- 一週間に何回、コンビニに行きますか。
絵カード&イラスト
初級の時は、絵カードやイラストを有効に活用して、目からの情報もたくさん取り入れると◎です。
げんきのテキストは対応している絵カードがありますので、購入してみても良いと思います。
その他、私のサイトにもイラストがあり無料ダウンロードできますので、良かったら使ってください。


無料PDFダウンロード教材
第13課で勉強した「~し」を使った練習問題を考えてみました。
良かったら参考にしてみて下さい。
