日本語教師になるには、多くの人が、日本語学校の日本語教師養成講座を卒業、または、日本語教育能力検定試験に合格してなる人が多い傾向です。
しかし、日本語教育能力検定試験合格しただけでは、教育実習ができないというのが難点となります。
日本語教師養成講座に通うとなると、約50万円前後かかりますので、ある程度のお金が必要になります。
何を優先させるのか、悩むところではありますが、今回は、少しでも安く独学で日本語教師になれる道をご紹介します。
【こんな人に読んでもらいたい】
独学で日本語教師資格を取得したい人
少しでも費用が安く日本語教師になりたい人
独学で日本語教育能力検定試験に合格したい人
日本語教師になるには
現時点では、日本語教師になるには、下記の3通りがあります。
2024年4月から日本語教師は国家資格化になるため、「登録日本語教員」となりたい場合は、別途試験等と受けなけれないけません(現行案の場合)。
①「日本語教育能力検定試験」合格
②「日本語教師養成講座420時間」修了
③大学・大学院で「日本語教育主専攻(または副専攻)」修了
既に大学を卒業されており、現在主婦や社会人の人にとって③は現実的ではありませんね。
ですので、多くの日本語教師は①か②の方法で日本語教師になります。
実際に、文化庁のHPでも、日本語教師養成講座を修了して日本語教師になった人が約半数、日本語教育能力検定試験に合格して日本語教師になった人が35%程度との発表がされています。
(参照:第117回日本語教育小委員会(R5.2.10)参考資料4より)
独学で目指せる資格はどれ?
独学で目指せる資格は、「日本語教育能力検定試験」に合格する事です。
冒頭に記載した通り、日本語教師養成講座は約50万円前後の金額がかかってきますので、少しハードルが高く感じる方もいると思います。
その点、日本語教育能力検定試験は、受験料17,000円(税込)です。
参考書代等を鑑みても、遥かに安く資格取得を目指すことができます。
独学のメリット&デメリット
独学でも日本語教育能力検定試験への合格を目指せることが分かった所で、今度、独学におけるメリット&デメリットを見て行きましょう。
独学のメリット①:安い
先に記述した通り、独学であれば、参考書代を鑑みても、検定試験の受験料17,000円プラス5,000円前後ぐらいの金額で済みます。
何となく、日本語教師という職業に興味のある人、現在会社員で、まだ今後のプランが明確ではない人は、このぐらいの金額であれば、始めやすいですよね。
まずは、参考書をみてみて、どんなことを勉強するのか知る所から始める事も可能です。
その後、本気で勉強するかしないか検討しても良いと思います。
独学のメリット②:自分のペースで勉強できる
日本語教育能力検定試験は、毎年1回ですので、それに合わせて自分のペースで勉強を進める事ができます。
何かに迫られたり、期限があるわけではないので、プランをしっかり練らないとダラダラしてしまうかもしれませんが、それでも現在別の仕事をしている人にとっては、自分のペースで勉強できるのはメリットですね。
独学のデメリット①:理解を深めるのが難しい
日本語教育能力検定試験の合格率は30%前後と、すごく難しい訳ではないのですが、それでも出題範囲が広く、今まで日本語教育に関わっていない人にとっては、新しい事も盛沢山で、一つずつ理解していくのが難しい(もしくは時間がかかる)可能性があります。
また、試験では音声問題や記述問題もあり、独学でどれだけ得点が取れるようになるのか、かなり個人差が出てきてしまう恐れがあります。
独学のデメリット②:質問できない
上記と少し似ていますが、分からない物が出てきた際、ネットなどで調べてもよく分からない事もあります。
日本語教師をしていても、分からない事や疑問に思う事は日々出て来ます。
また、答えが曖昧な感じでモヤっとする時もあるかもしれませんが、こんな時質問できる相手がいないのが独学の最大のデメリットだと思います。
曖昧なまま試験に臨んで、その箇所が出た場合、当てずっぽうになってしまう可能性はあります。
独学にはこのようなメリット&デメリットがあります。
しかし、既に多くのテキストや参考書が発行されていますので、少し多めに本を購入して、ゆっくりでも、一歩ずつ独学で勉強を進めていくことは可能です。
次に、おすすめのテキストや参考書をご紹介していきます。
日本語教育能力検定試験とは?
日本語教育能力検定試験は、日本語教員となるために学習している方、日本語教育に携わっている方に必要とされる基礎的な知識・能力を検定することを目的として行われています。
試験日は、毎年10月です。
尚、日本語教育能力検定試験は、令和4年度の試験より「必須の教育内容」 (文化庁)に準じた出題範囲に移行しています。(参考:日本語教育能力検定試験の出題範囲の移行について)
難易度や合格率
日本語教育能力検定試験の合格率は30%程度ですので、決して簡単な試験ではありません。
また、出題範囲も広く、しっかり勉強をしないといけない、という印象です。
(参考:令和4年度日本語教育能力検定試験 応募者・全科目受験者・合格者数)
内容は、割と誰でも理解しやすい内容ですが、覚える事などが多いです。
個人的には、音声の問題が分かりずらい事があり、これは、どれだけ勉強しても、正直、本番の試験で何がでるかで、多少されてしまうかな、という感じです。
試験問題例は、コチラから確認できます。
独学におすすめのテキストや参考書
日本語教育能力検定試験に関連するテキストや参考書は数多くありますので、ご自身が気に入ったものを使って頂いて問題ないかと思います。
下記には、有名な参考書を掲載しておきます。
分野別に勉強したい人は下記の参考書もおすすめです。
日本語教育能力検定試験の通信講座
自分で参考書を買って独学で勉強するだけでは、少し不安だと感じる方には、通信講座がおすすめです。
日本語学校が提供している通信講座もあり、しっかりと勉強して合格を目指せます。
多くの場合、質問ができたり、記述問題の添削をしてもらえるなどのメリットもありますので、検討してみる価値はあります。
ヒューマンアカデミー
ヒューマンアカデミーが提供している、日本語教師養成講座の中に、「日本語教育能力検定試験【完全合格】講座」というものがあります。
こちらは、完全通信で映像講義を見る学習形態になります。
受講料は、132,000円(税込)でサポート期間12ヶ月と添削1回がついています。
記述問題対策として添削サポートがあるのは魅力です。
試験では、記述問題がありが、独学だけでは勉強の限界がありますので、通信講座を受けてみるのも◎です。
KEC日本語学院
子どもから大人までの教育事業を展開しているKEC教育グループが展開しているKEC日本語学院では、日本語教育能力検定試験対策コースがあります。
通学orオンライン(双方向)のどちらか、もしくは併用を選択できます。
校舎は、東京・大阪・京都・兵庫にあるので、ご自宅が近い場合は、通う事も可能です。
検定試験コースでも、日本語教師養成講座と同じ「基礎理論講座(44回分)」を視聴でき、また、記述の添削指導まで付いています。
3パターンあり、検定対策時間数に応じて受講料が異なります。
①基礎理論+検定対策90時間 | 通常価格423,200円(税込:465,520円) |
304,200円(税込:334,620円) 特別価格
②基礎理論+検定対策60時間 | 通常価格380,600円(税込:418,660円) |
261,600円(税込:287,760円) 特別価格
③基礎理論+検定対策30時間 | 通常価格332,500円(税込:365,750円) |
213,500円(税込:234,850円) 特別価格
KEC日本語学院の日本語教育能力検定試験コースは、かなりしっかり勉強することができるので、多少受講料は高くなりますが、「絶対合格したい!」という方は、トライしてみても良いと思います。
東京中央日本語学院
東京中央日本語学院は、検定対策ゼミとして、日本語教育能力検定試験対策コースがあります。
毎年8月~10月にかけて全10回(計40時間)の講座を開講しており、eラーニング(動画視聴学習)もしくはライブ授業(オンライン)の選択が可能です。
検定対策ゼミ受講生の検定合格率は、過去3年の平均が74.95%と高い合格率を出しています。
通常の合格率が30%程度ですので、75%近い数字はかなり高いと言えます。
受講料は、eラーニング(動画視聴学習)が、55,000円(税込)・ライブ授業(オンライン)が77,000円(税込)です。
\高い合格率を誇る/
千駄ヶ谷日本語教育研究所
1975年に東京都渋谷区千駄ヶ谷で日本語学校として設立され、その翌年日本語教師養成講座が開設され、現在に至るまで、日本語学校と日本語教師養成講座を運営しています。
日本語教育のリーディングスクールとして有名な学校の一つです。
そんな千駄ヶ谷日本語教育研究所では、日本語教育能力検定試験対策コースを複数行っております。
合格率は70%を超えており、平均の30%より遥かに良い結果を出しています。
≪開講している試験対策講座≫
- 日本語教育能力検定試験検定ガイダンス(無料)
- 基礎知識コース
- e-ラーニング日本語教育能力検定試験対策コース
- 日本語教育能力検定試験直前対策コース(通学)
- 日本語教育能力検定試験問題解説セミナー
金額は、コースにより異なりますのでHPをご参照下しさい。
日本語教育能力検定試験対策だけでなく、今後日本語教師としての知識もしっかり身に付けたいという人におすすめです。
\知識を身に付けたいなら/
アルファ国際学院
アルファ国際学院は、1987年より日本語教師養成講座を中心とした日本語教育機関として、運営しています。
海外にも日本語学校を持っており、教室は国内2校(東京・横浜)、海外4校(英国・タイ・ベトナム・ネパールにあります。
そんな国際的な展開をしているアルファ国際学院でも、日本語教育検定試験対策講座があります。
検定対策講座は、オンラインで、模擬試験が2回付いて、198,000円(税込)です。
検定直前対策講座は、検定対策講座の「理論8科目 約110時間の映像コンテンツ」を除く10回のオンライン授業と2回の模擬試験で、88,000円(税込)です。
基礎の内容もしっかり学びたい人には、検定対策講座がおすすめです。
\模擬試験で実際の試験をイメージ/
株式会社篠研
株式会社篠研では、完全オンラインで日本語教育能力検定試験対策講座を行っております。
オンラインのため、世界中どこに住んでいても受講可能です。
模擬問題約900問、キーワードチェックテスト690問が付いており、全出題範囲を無理なく完全習得できます。
また、質問し放題なので、いつでも分からない事があったら聞けるのが魅力です。
料金は、5,500円(月額)60,500円(年額)と、かなりリーズナブルです。
(プランにより別の料金設定もあり)
1か月で辞める事もできますので、ちょっと試してみたい人にもおすすめです。
\模擬試験で実際の試験をイメージ/
アプリ
日本語教育検定試験対策として、スマホの無料アプリもあります。
電車の中など、スキマ時間にちょっとだけ勉強できるので便利ですよね。
独学でも合格できるの?
ここまで、独学で勉強する際に利用できるテキストや参考書、通信講座、アプリをご紹介してきましたが、正直、独学で合格できるのでしょうか。
正確なデータとして、持っているわけではありませんが、日本語教育検定試験に合格している私の周りの人は、日本語教師養成講座も終了していて、かつ、現役の日本語教師で、その上で、独学で日本語教育検定試験に合格したという人です。
ですので、全く日本語教育関連の仕事に就いたことがなく、知識がゼロスタートの人が、独学で勉強した場合、どのぐらいの人が合格できるのか、正直不明瞭です。
しかし、できなくはないと思いますので、しっかりスケジュール立てて勉強していきましょう。
必要な勉強時間
日本語教育検定試験対策講座を提供している学校では、概ね半年~1年を目安に学習スケジュールを立てることをおすすめしています。
最短は1か月から可能としている学校もありますが、個人的に、基礎知識なくして1か月だけでは、合格はかなり難しいかと思います。
スケジュールを組む
試験日は、毎年10月ですので、それに向けて、半年~1年前から勉強をスタートさせましょう。
スムーズに学習をスタートさせるためにも、更に前から、どのテキストや参考書が良いのか、通信講座の情報収集など始めておくといいです。
通信講座は、①独学だけでは不安な人②より理解を深めたい人③今後、日本語教師としての基礎もきちんと身に付けたい人などは、通った方が良いです。
【通信講座比較】
学校(企業)名 | HP | 講座名 | 受講料金 | 受講期間 |
ヒューマンアカデミー | 公式HP | 日本語教育能力検定試験【完全合格】講座 | 132,000円(税込) | 6ヶ月(サポート期間12ヶ月) |
KEC日本語学院 | 公式HP | 日本語教育能力検定試験対策コース | 234,850円(税込)~ | 30時間~ |
東京中央日本語学院 | 公式HP | 検定対策ゼミ(eラーニングorオンライン) | 55,000 円(税込)~ | 40時間~ |
千駄ヶ谷日本語教育研究所 | 公式HP | 日本語教育能力検定試験対策コース | 68,000 円(税込)~ | 2か月~ |
アルファ国際学院 | 公式HP | 試験対策講座 | 198,000円(税込) | 6か月~1年 |
株式会社篠研 | 公式HP | 日本語教育能力検定試験対策講座 | 5,500円(月額)60,500円(年額)~ | 推奨1年 |
日本語教育検定試験を受験した身としては、日本語教育に関する知識がゼロスタートの場合は、通信講座を受けてみる事をおすすめします。
私は日本語教師養成講座修了後すぐに受験したので、まだ知識が蓄積されておりましたが、正直今、急に受けろと言われても、受かるか自信がないです。
現役の日本語教師の方、皆さん同じことを言われます。
それぐらい日本語教育検定試験は、多岐にわたり出題され、割と細かい事まで聞かれます。
まとめ
今回は、独学で日本語教育検定試験に合格するための、おすすめのテキストや参考書、また通信講座をご紹介しました。
独学でも受かる事は可能だと思います。
また、何よりも勉強のスケジュールも最初に立てておくと、途中中だるみしてしまいそうな時期も、そのスケジュールに沿って進めていくことができます。
中だるみしそうな時期に、通信講座を取り入れるなどして、上手に勉強を進めてみるといいでしょう。