皆さんの周りに日本語教師をしている方はいますでしょうか。
また、日本語教師と聞くとどんな人が働いていると想像しますでしょうか。
今回は、文化庁が令和5年に発表した日本語教育関係 参考データ集を元に、皆さんが気になる、年収や時給、平均年齢などをまとめてみました。
この記事では、どんな人が日本語教師として働いているのかが分かります。
その上で、今後自分が日本語教師になりたいのか、将来性があるのか、どんな働き方がいいのかなどの検討材料にしてもらえると嬉しいです。
【こんな人に読んでもらいたい】
日本語教師について知りたい人
どんな人が日本語教師をしているのか知りたい人
今後、自分も日本語教師になれるのか知りたい人
ボランティアが一番多いってホント?
日本語教師と聞いて、どんな働き方を思い浮かべますでしょうか。
実は、日本語教師はボランティアで活動されている方が一番多いとの結果が出ています。
おおよそ、ボランティアの割合は半数(50%)程度との事で、2人に1人程度がボランティアであることが分かります。
(参照:日本語教育関係 参考データ集 P23)
ボランティアの方は、地域公民館などで生活者に対して日本語を教えていたり、小学校などで外国籍の子供へ日本語を教えていたりなど、割と地域に根付いて活動されている方が多い印象です。
もちろん、ボランティアですので、基本報酬はないと思われます。
日本語教師の多くは、純粋に「日本語を教えたい」という気持ちから活動されている方が大多数であると感じています。
そのため、あまり収入にこだわらず、自分が活躍できる場所があれば、それでハッピーと感じている方がたくさんいらっしゃいます。
50代以上が大活躍!
日本語教師は、もちろん新卒からなる事が可能ですが、50代以上が約半数を占めています。
そのため、平均年齢も割と高く、50代で日本語教師に転職した方などは、普通にいます。
(参照:日本語教育関係 参考データ集 P25)
私の知っている中での最高齢の方は、70代で日本語教師に転職をした男性です。
会社員を定年退職されて、その後日本語教師になるべく養成講座に通い、その後、無事日本語学校に就職されておりました。
この歳で、転職をしたり、新しい就職先を見つけるのは、通常は中々難しいと思いますが、日本教師の場合は、今までの経験を活かして、ビジネス日本語やマナーを教えたりなどする事ができます。
むしろ、この様な事は、若い人よりも、経験を重ねた人の方が熟知されているので、ご自身の経験を活かして仕事をする事ができます。
日本語教師養成課程・研修修了者の主な進路先
先に、日本語教師は50代以上の方が多く活躍されていると書きましたが、大学や大学院を卒業したての学生はどのような所へ就職しているのでしょうか。
大卒者の場合は、大学院へ進学する人も居るようですが、6割程度は一般企業への就職をしているようです。
大学院卒の場合は、多少は日本語教師関連への就職率は増えますが、それでも17%程度です。
このため、20代の日本語教師の割合は、全体の5%程度にとどまっており、中々若い人が日本語教師になりたがらない傾向があるようです。
これは、どうしてなのでしょうか。
恐らく理由の一つは「年収」だと思われます。
ネットでも、「日本語教師は食えない」「割に合わない」「やめたほうがいい」などと否定的な意見も多数見かけます。
そこで、次に、日本語教師のリアルなお金事情について見て行こうと思います。
日本語教師のリアルなお金事情
まず前提として、日本語教師だけでなく、語学教師全般的に、大金持ちに慣れる職業ではないと思われます。
あくまでも、サービスを提供するサービス業の一つですので、サービス業自体の年収がすごく高いわけではないため、語学教師も、そこまで高い給料をもらえないと思っておいた方がいいです。
働く機関について
日本語教師の場合は、働く機関が大きく分けて3つあります。
- 大学や大学院等
- 法務省告示校(日本語学校)
- 法務省告示校以外で日本語教育を実施している専修学校・各種学校
どこで働くかによっても年収や時給は異なりますが、①の大学や大学院等で教授を務める場合は、大学院卒の学歴が必要になりますので、この時点で、限られてしまいますよね。
ですので、多くの日本語教師の方は、②か③の機関で働ていると想定します。
また、上記以外にも、ご自身でフリーランサーの様な形態で働いている日本語教師の方もいます。
年収&時給について
多くの方が気になる、年収と時給ですが、働き方によって、年収なのか、時給なのか変わってきます。
常勤講師であれば、概ねどの機関でも年収での契約となります。
非常勤講師の場合は、時給となります。
常勤講師の場合、年収300万円~400万円未満が一番多い層となります。
非常勤講師の場合、時給2,000円~3,000円未満が一番多い層となります。
(参照:日本語教育関係 参考データ集 P26)
もちろん、大学等の機関で働ければ、その方が給料は高くなりますが、日本語教師の多くの方は、日本語学校に所属していて、また非常勤で働いています。
日本語教育関係 参考データ集によると、非常勤36.3%、常勤15.7%だそうです。
コマ給を用いている学校は、1コマ90分で3,000円などとの計算になります。
この時給だけ見れば、そんなに悪くないように感じる方もいるかもしれませんが、実際、1回の授業をするのに、準備時間がその倍以上かかる事がほとんどです。
また、日本語教師になり立ての場合は、1日かかってしまう事も珍しくはありません。
授業準備にかなりの時間を取られてしまいますが、その時間は給料は発生しませんので、割に合わないといった声が出てくるのです。
もちろん、年数を重ねて行けば、過去に作った教材を使えるので、準備時間は軽減されますが、それでも、その時のあった話題を探したり、内容をアップデートしたり、または、新しい内容に変更したりしないといけない事も多いので、準備時間が無くなることは、基本ありません。
まとめ
今回は、日本語教師のリアルな現状をデータを元にご紹介しました。
正直、「大金持ちになりたい」と思っている人には向いていない職業だと思います。
どちらからと言うと、外国籍の方に日本語を教えたい、日本語を教える事を通じて、色々な国の人と出会いたい、など、収入はある程度で、やりがいやモチベーション維持の方を重視している人に向いていると思います。
ただ、本当に一部の人で、日本語教師として年収1000万稼いでいた人も居ます。
私の知り合いの日本語教師の方で、以前、とあるエアライン企業で日本語教師として働いていた方は、年収1000万あったと言っていました。
この時は、エアライン企業ですので、日本のマナーや敬語など、通常のレッスンよりもかなり授業準備が大変だったとおっしゃっていました。
中々このような機会に出会うのは難しいと思いますが、可能性はゼロではないようです。
今後、日本語教師になりたい人、日本語教師になり立ての人などの今後の働き方などの参考になれば幸いです。