日本語教師養成講座を受けると、必ず教案を書くように指示があります。
また、新任日本語教師となった場合も、最初の頃は、先輩教師に教案チェックをしてもらうような事もあります。
日本語教師にとって(特になり立ての人)、教案作りは欠かせません。
でも、教案って、どうんな感じでみんなが作っているのか、また、どのぐらい細かく記載したらいいのか、悩むこともあると思います。
そこで今回は、日本語教師の教案作りのサンプルテンプレートを例に挙げ、私が実際に作っていた物をご紹介していこうと思います。
これが正しい訳ではありませんが、中々他の人が作った教案を見る機会が少ないと思いますので、何か参考になれば幸いです。
【こんな人に読んでもらいたい】
日本語教師なり立てで教案作りで困っている人
どんな感じで教案を作ったらいいか知りたい人
他の人の教案の作り方を知りたい人
教案のサンプルテンプレートが欲しい人
ぶっちゃけ教案って必要?
日本語教師養成講座に通っていた時は、何も疑問を持たず毎回言われるがままに教案を作成していた人も多いと思います。
しかし、実際に日本語教師として働き始めると、教案作りに割と時間がかかってしまったりして、「本当に教案って必要なのかな?」と疑問に感じ始める人も居るはずです。
実施、私もその一人でした。
これは私自身の感想ですが、教案は必要です。
初級・中級・上級どのレベルを教えるにしても、必要だと感じます。
ただし、経験を積んでくれば、養成講座時代の様に、事細かに全てを盛り込む必要はないのかな、と思います。
もう少しザックリした感じで、ページ数も1~2ページ程度で、授業の流れをメモしておくような位置づけで作れば良いと思います。
実際、私自身、現在は、教案作りで時間がかかってしょうがない、という事はありません。
ある程度流れがつかめてきているので、教案は、忘れちゃいけない事や注意点などを書いておいたり、大まかな時間の目安を記載する程度です。
また、私の知っている先生方でどんなにベテランの方でも、全員教案は毎回作っています。
もう日本語教師歴20年25年の先生でも、教案を作っているので、やはり教案は毎回作っておいた方が良いのでしょう。
誰が見るの?
基本、教案は自分しか見ません。
キレイにワードやエクセルで作っても良いですが、手書きで作成しても問題はありません。
ただし、日本語教師養成講座に通っている方や、新人日本語教師として先輩教師の方に教案チェックを受けている方の場合は、その間だけでも、ワードやエクセルである程度見やすく作成しておいた方が良いです。
その方が、チェックする側が見やすいです。
最初のうちは、決まってテンプレートに入力していく感じだと思いますが、慣れてくれば、自分が必要だと思う項目のみに削ったり、逆に必要だと思う項目を追加して、自分オリジナルの教案のテンプレートを持っておくと良いです。
教案は、通う養成講座によっても多少異なりますので、みんなと同じものを使わなければいけないという事はありません。
教案チェックについて
私自身、新人日本語教師として日本語学校で勤務を開始した際、最初の頃は先輩教師に、毎回教案チェックをしてもらっていました。
学校により、教案チェックをする先輩教師は、年齢が近い先生だったり、ベテランの先生だったりと色々ですが、基本、教案チェックはメールにて添付をして、授業の前までに見てもらいます。
そのため、データで作成する必要があります。
見てもらう先生によって、どのぐらい修正や添削されるかは異なりますが、チェックする側としても、何も修正点を指摘せず返却する訳にはいかないので、何か見つけて返却される事となります。
何か指摘されると、自分の教案が悪かったと思いがちですが、100%そういった訳ではありません。
あくまでも、より良い授業になるように、先輩の教師の方にブラッシュアップしてもらうという感覚でいるといいです。
また、この教案チェックが終了すると、基本的には、もう誰にも自分の教案を見てもらう機会が無くなります。
まだ教案チェックを受けられる新人のうちに、分からない事疑問に思う事などを質問できると◎です。
教案作成にかかる時間
これは人それぞれですが、私は最初の頃、1時間程度はかかってしまっていたと思います。
時にはそれ以上かかっていたこともあります。
授業内容を決めても、その後、教案を作る際、実際の授業では、どこにどの程度の時間がかかるのか、どこまで教案に内容を盛り込んだらいいのか、色々悩んで、何度も修正をしていました。
私が、日本語教師養成講座時代に言われた事で、きっと皆さんにもためになると思う事は、「最初のうちは、何でも細かく記載しておけ」という事です。
ここまで書かなくてもいいかな?と感じる事でも、最初のうちは、事細かに教案に盛り込んでおいて、何の問題もありません。
授業中焦ってしまったり、内容が飛んでしまった際、教案を見れば大丈夫、というぐらいにまで教案をしっかり作り込んでおくと安心材料となります。
ある程度慣れるまで、授業準備と教案作りで割と時間が取られてしまい、かなり大変な時もあるかと思いますが、あくまでも最初の頃だけです。
慣れてくれば、教案作りという時間は、ほぼメモをする程度な感じになって来ると思いますので、少しの辛抱だと思ってください。
教案サンプルテンプレート
ではここからは、日本語教師の教案のサンプルテンプレートをご紹介します。
あくまでも参考をしていただければと思います。
ご自身が使いやすいように編集したり、付け加えたりして全く問題ありません。
【毎回最初に記載する項目】
- 授業予定日
- クラス名
- 授業するテキスト名と課
- 扱う文法項目
- 目標
特に、目標は、その授業をすることで学習者が何ができるようになるのかを考えて書きましょう。
そうすることで、自分の授業内容もどういったものにしたらいいのか、少し見えて来るかもしれません。
教案には、授業の流れや黒板に記載すること、注意点などを書き、それぞれどのぐらい時間がかかるかを予想して、最終的に授業が時間通りに終わる様に調整していきます。
最初の頃は、時間配分がよく分からず、思った以上に時間がかかってしまった、もしくは、割とすぐ終わってしまったという事が多々あります。
その際に、どうにか時間通りに終わらせられる様、削っても大丈夫な個所や時間が余った際にやれることなども事前に考えておけるとより◎です。
学校によっては、授業時間よりも早く終わると担任の先生から注意されることがあります。
たとえ5分でも10分でも、早く終わればその分、学習者は勉強時間が減った事になりますので、できるだけ時間通りに、できれば誤差数分以内に収められるといいです。
私が実際に作った教案
では、ここで私が人生で初めて作成した渾身の(?笑)教案をご紹介します。
これは、日本語教師養成講座時代に作成したものですので、かなり細かく記載されています。
正直、今はここまで細かく記載することはありませんが、最初の頃はこのぐらい、細かく色々と想定して書いておくと良いです。
【この教案の事前情報】
- 授業予定日:6月8日(土)
- クラス名:養成講座の教育実習(20分の授業)
- 授業するテキスト名と課:みんなの日本語26課 練習A1.2
- 扱う文法項目:V(普通形)/イ形/ナ形/Nな んです
- 目標:「~んですか」の文を使って、相手へ質問ができるようになる
【実際の教案の一部抜粋】
もし、全ての教案を見たい方は下記からダウンロードしてみて下さい。
これを見て、どう思いますでしょうか。
養成講座時代の物ですので、全てのセリフまで想定して事細かに記載しております。
(T:先生 S:生徒)
実際は、100%この通りにならないのですが、それでも、当時は、最低限、自分が言う事は頭にたたき入れていました。
慣れてきた場合は、セリフまで書く必要はなく、自分が言う事をメモしておく程度でも十分だと思います。
では、次に、私の養成講座時代の教案を見て良い点と悪い点を挙げていきたいと思います。
良い点
- クラスの流れをイメージできる
- 忘れてしまっても、教案を見ればリカバーできる
- 自分の安心材料となる
大きくこの3点を挙げてみました。
やはり最初の頃は、クラスの流れをつかめきれていなかったり、緊張して頭が真っ白になってしまったりすることはあると思います。
そんな時、教案をみっちり作り込んでおけば、授業中に教案を見直して、リカバーしやすいと思われます。
私はよく、黒板に書く事を忘れてしまっていたので、教案には毎回書くようにしていました。
悪い点
- イメージ通りにはならない
- セリフまで考えるのは面倒くさい
- 教案に色々書き過ぎで、直ぐに探せない
悪い点として、上記3点を挙げてみました。
正直、セリフまで考えると、数時間かかってしまいます。
また、自分の中ではこの通りに進むことをイメージしてしまい、この通りに行かないとてんぱってしまう可能性もあります。
また、忘れてしまって教案から探そうとして、細かく書きすぎていてすぐに探し出せない事もあります。
ですので、この様な教案を作るのは、養成講座時代と本当に日本語教師なり立ての時期の少しの期間だと思います。
まとめ
今回は、日本語教師の教案についてサンプルテンプレートを用いながらご紹介しました。
最初の頃は、何でも細かく記載しておく癖をつけ、徐々に慣れてきたら、記載事項を減らしていくといった感じで教案を作成していくと良いです。
何か分からない事やご質問・ご指摘等ございましたら、下記からご連絡下さい。