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「見やすく分かりやすい」教材作成のキホン│学習者のストレスを軽減するスライド

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日本語のレッスンにおいて、オリジナルの教材やスライドを自作する機会は非常に多いものです。

しかし、「時間をかけて一生懸命作ったのに、なぜか学習者の反応が薄い…」「文字やイラストを詰め込みすぎて、大切な所が伝わっていない気がする」と悩んでいませんか。

授業の主役はあくまで「学習者さん」です。

凝ったデザインや華やかなアニメーションを目指す必要はありません。

大切なのは、日本語学習者が直感的に「日本語が楽しい!」「これなら自分にも理解できる!」と感じられるような、ストレスを与えない教材を作ることです。

本記事では、日本語教師が押さえておといい「教材作成のキホン」をまとめました。

この記事を読むことで、学習者さんのためのスライドが作れるようになるはずです。

この記事は、学習者さんのためのレッスンを考え、日本語を教えるための土台・基礎が学べる『日本語教師スタートセット』の内容を抜粋しております。詳細は下記よりご確認ください。

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1. フォント選び

基本は、教科書と同じ字体「教科書体」を用いるのがいいです。

私たち日本人は、ゴシック体、明朝体、手書き風フォントなど、多少デザインが異なる文字であっても、これまでの経験から同じ「漢字」や「ひらがな」として難なく認識できます。

しかし、日本語を学び始めたばかりの学習者にとってはそうではありません。

フォントのわずかな違いが、全く別の文字に見えてしまう可能性があります。

もし使用しているPCに「教科書体」がなければ、「UD(ユニバーサルデザイン)デジタル教科書体」や、シンプルで癖のない「UDゴシック」などを選択すると良いです。

文字の「はね」「はらい」が正確に表現されているフォントを選ぶことが、学習者の安心感に繋がります。

「き」「さ」「そ」「り」

特に注意が必要なのが、ひらがなの「き」「さ」「そ」「り」などの文字です。

一ゴシック体では、「き」や「さ」のフォントの線がつながって表現されます。

しかし、学習者が最初に使う教科書(『みんなの日本語』など)では、これらは線が離れて書かれています。

教師が作ったスライドで線がつながった「き」を見た学習者は、「これは自分が知っている『き』と同じ文字なのだろうか?」と考えてしまうかもしれません。

2. わかち書き

日本語は、英語などのように単語と単語の間にスペース(空白)を空けない「分かち書きをしない言語」です。

中上級者であれば問題ありませんが、ひらがなやカタカナを覚えたばかりの初級学習者にとって、文字がずらりと敷き詰められた文は「どこからどこまでが一つの単語なのか」を判別するのが大変です。

文節や単語ごとに書く

そこで取り入れたいのが、文節や単語ごとに、少しスペースを空けて書く「わかち書き」です。

  •  わたしはまいにちにほんごをべんきょうします。
  •  わたしは まいにち にほんごを べんきょうします。

このように、名詞や助詞の区切り(文節)ごとに半角または全角のスペースを1つ入れるだけで、分かりやすくなります。

ちょっとした手間の違いですが、これだけで授業の学習者さんの理解度アップにつながります。

3. 漢字・ふりがな・ローマ字

教材内の文字表記は、学習者さんのレベルに合わせてコントロールします。

ここを曖昧にしてしまうと、優しすぎて勉強にならなかったり、逆に難しすぎて授業についていけなくなったりします。

レベル別の大まかなルール

  • ローマ字の使用:ひらがな・カタカナをまだ完全に習得していない初心者・初級の学習者に対して、補助的にローマ字を併記します。ただし、いつまでもローマ字に頼っていると文字の習得が遅れるため、段階的に減らしていきます。

  • 既習漢字と未習漢字の区別:すでに授業で習った漢字は積極的に教材に登場させ、漢字の定着を促しましょう。まだ習っていない漢字を使う場合は、必ずふりがなを振るか、ひらがな表記にとどめます。

  • ふりがな(ルビ)の残し方:習ったばかりの漢字には、しばらくの間ふりがなを残しておくと親切です。学習者がスムーズに読めるようサポートしつつ、完全に定着したと判断できた段階で、徐々にふりがなを外した表記に切り替えていきます。

ふりがなは「気持ち大きめ」

Wordのルビ機能やPowerPointのテキスト配置でふりがなを振る際、初期設定のままだとふりがなが非常に小さく表示されることがあります。

日本人にとっては小さくても読めますが、学習者さんにとっては、読みずらい可能性があります。

スライドにふりがなを振る時は、「少し大きすぎるかな?」と感じるくらいのフォントサイズを意識すると良いです。

4.色使い

教材をわかりやすくしようとするあまり、たくさんの色を使ってカラフルなスライドを作っていませんか?

実は、これは逆効果です。

人間の脳は、視覚情報として同時に多くの色を提示されると、「どこが本当に重要なのか」の優先順位をつけられなくなってしまいます。

基本は3色程度

教材スライドには、使用する色を「3色程度」に絞ると良いです。

例えば、以下のような組み合わせで使います。

  1. 黒(または濃いグレー):基本のテキスト・説明文用(全体の70〜80%)
  2. 青(または緑):補足、正解、規則、グループ分けなどの提示用(全体の15〜20%)
  3. 赤(またはオレンジ):最も重要なポイント、注意書き、間違いの指摘用(全体の5%程度)

色に役割を持たせる

色を絞るだけでなく、その色が何を意味しているのかという「ルール」を教材全体で統一すると良いです。

例えば、「動詞の変形ルールは青。新しい文型は赤。」と決めたら、その課の授業中だけでなく、他の課のスライドでも同じルールで色を使っていきます。

これにより、学習者さんは「赤色が出てきたということは、これが今回の文型なんだな」と、言葉での説明がなくても見て分かるようになります。

5. 1スライド・1メッセージ

教材作成において最も多くの教師が陥りがちなのが、「1枚のスライドに情報を詰め込みすぎてしまう」という事です。

文型、意味、例文、練習問題、イラストをすべて1枚に収めようとすると、文字は小さくなり、余白がなくなって息苦しいスライドになってしまいます。

詰め込み過ぎない

スライド作成の基本は「1スライド・1メッセージ」です。

例えば、「『~てもいいですか』」を教えるスライドであれば、導入文1つと意味、そしてそれを補足する大きめのイラスト1枚だけを配置します。

他の例文や練習問題は、次のスライドに分けましょう。

スライドの枚数が増えてもいいんです。ポンポンとテンポよくスライドが切り替わる方が、授業のリズムも良くなり、学習者の集中力も持続します。

画面サイズを意識

オンライン日本語レッスンでは、学習者が必ずしも大きなパソコン画面で受講しているとは限りません。

タブレットや、時にはスマートフォンの小さな画面で授業を受けている学習者も存在します。そのため、以下の2点には特に注意を払いましょう。

  1. 画面の端(ギリギリ)まで文字を書かない:画面のサイズによっては、端の文字が切れて見えなくなる可能性があります。ある程度「余白」を確保しておくと良いです。

  2. イラストは大きく1つ:小さなイラストを何個も並べると、小さい画面では何が描かれているか見えません。分かりやすいイラストを、1枚張り付けると良いです。

まとめ

日本語教師が自作する教材や授業スライドは、素晴らしいデザインを追求するのではなく、「学習者さんへの配慮」を考え作成していきます。

文字をたくさん詰め込んだり、カラフルに装飾したりする「足し算の工夫」ではなく、不要な情報や色を削ぎ落としていく「引き算の工夫」が、見やすい教材を作るためのコツかと思います。

今回紹介した事を意識するだけでも、教材が一気に学習者さんに配慮されたものになるはずです。

ぜひ、次回のレッスンに向けたスライド作りに取り入れてみてください。

学習者さんのためのレッスンを考え、日本語を教えるための土台・基礎が学べる『日本語教師スタートセット』は下記より詳細をご確認ください。

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