多くの日本語教師の方が、一度は聞かれたことのある質問として「は」と「が」の違いがあると思います。
私はレッスン中に、急に学習者さんから「what is the difference between WA and GA?」と聞かれたて、「え?」となってしまった事があります。
この方は、ゼロ初級の方で、どう伝えたら良いのか困ってしまいました。
私と同じ経験を持っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「は」と「が」の違いを、できるだけ簡単に、そして納得してもらえる伝え方をご紹介します。
【こんな人に読んでもらいたい】
- 「は」と「が」の違いの伝え方を知りたい
- 簡単に文法に関する質問に答えられるようになりたい
学生が納得する!「は」と「が」の違い
「『は』と『が』は、スポットライト(注目)をどこに当てるかの違いです」
こう伝えると多くの人は、頭の中で整理が付きやすいです。
では、具体的にどういう事なのか見ていきましょう。
① 「旧情報(は)」と「新情報(が)」
これは、違いを判断する最も基本的なルールです。
【説明】
- 新しく登場する人・物(初めての話題)には「が」。
- すでに話題に出た(みんなが知っている)ものには「は」。
【例文】
- 「あ!あそこに猫がいますね。(新登場:スポットライトは『猫』)」
- 「あの猫は私のペットです。(既知:スポットライトは『私のペット』)」
② 「排他・特定(が)」と「記述(は)」
学生が最も混乱するのが、この「特定」の「が」です。
説明:
- 「他でもないこれ!」と指し示したい時は「が」。
- 単に性質を説明したり、自己紹介したりする時は「は」。
例文:
- A:「誰が私のケーキを食べましたか?」B:「私が食べました。(犯人を特定:スポットライトは私)」
- 「私は学生です。(単なる記述:スポットライトは『学生であること』)」
【レッスンでの例】
クラス写真やイラストを使って、「どの人が先生ですか?」「この人が先生です」と聞いたりすると分かりやすいかと思います。
質問が「誰」「どこ」「いつ」「どちら」「何」で始まる場合、答えは必ず「〜が」になります。(具体的な内容が分からないため)
・どこがいいですか。
・何が好きですか。 など
③ 「対比(は)」
二つのものを比べる時、あるいは「これについては〜だが、あれについては〜」と言う時に使います。
説明: 「〜は……、でも〜は……」の形です。
例文:
- 「ひらがなは分かりますが、漢字は分かりません。」
- 「コーヒーは飲みますが、紅茶は飲みません。」
【レッスンでの例】
学習者さんの趣味について聞きます。「日本のアニメは好きですが、ドラマはあまり見ません」といった文が作れるとと、自分のことを話せるので定着が早くなります。
レベルに応じた回答を!
文法の質問に対しての答えは、学習者さんのレベルに応じてどこまで深く伝えるのか変えていきます。
ゼロ初級者の場合
このサイトにも掲載のある「Nihongo Fun&Easy」を使っている方から質問が来た場合は、文法を教えすぎてはいけません。
ユニットの目標は「コミュニケーションができること」です。
まずは「〜はどこですか?」「〜はいくらですか?」をフレーズとして覚えていきます。
学生から「Why GA?」と聞かれた時だけ、ちょっとだけ英語で補足します。この「少しだけ教える」というのがポイントです。
上記に書いた3つを全て言うのではなく、恐らく②の「排他・特定(が)」と「記述(は)」のみで十分かと思います。
中には、文法事項について、細かく聞いてくる方もいます。
そんな時は、「もう少しレベルアップしたら勉強しますよ」などと伝え、レベルアップしたら勉強できるんだと思ってもらえるように仕向けられると良いです。
初級者の場合
げんき(GENK)やみんなの日本語などを使用している場合は、文法の勉強もしていきます。
そのため、上記に挙げたような例文を書いて、何が違うかを聞いてみても良いです。
初級でも、げんき(GENK)やみんなの日本語の第1課なのか、後半の課なのかでかなり学習差がありますので、そこは、先生が学習者さんの習熟度を鑑みながら、進めていってください。
やってはいけない「NG例」
特に初級の方に伝える際には、下記の事には気を付けるようにしましょう。
専門用語の使いすぎ
「主題」や「主語」「係助詞」「格助詞」という言葉を使っても、学習者さんは「ぽか~ん」としてしまいます。
文脈のない単文での提示
「私は学生です」と「私が学生です」を1枚のスライドに並べるだけでは、使い分けのシーンがイメージできません。
一度で完璧を目指す
「は」と「が」は上級者でも間違えます。一度で教えきろうとせず、「今日はこれだけ!」と絞ることも大切です。
「は・が」の練習ゲーム案
伝えるだけでなく、ちょっとしたゲームの様な練習も取り入れてみると、より定着が図れます。
ゲーム案①:犯人捜し
マンツーマンレッスンを想定すれば、AさんとBさんに分かれて、犯人捜しをします。
事前にBさんが犯人を知っており、Aさんは誰が犯人か推測します。
【下記のイラストの例】
Aさん:犯人は帽子をかぶっていますか。
Bさん:いいえ、かぶっていません。
Aさん:犯人は眼鏡を掛けていますか。
Bさん:はい、かけています。
Aさん:2の人が、犯人ですか。
Bさん:はい、そうです。
ゲーム案②イラストの描写
わざと不自然な状況やイラストを作り、助詞を意識して描写してもらいます。
【下記のイラストの場合】
- 普通、空は青いですが、この空はピンクです。
- 猫が空を飛んでいます。
- 星が青いです。でも、普通は黄色です。
「空は青い」と「空が青い」
これは、私が聞かれてすぐに答えられなかった質問です。
何が違うのか、いつ使うのかを考えてみると、答えが見えてくるかともいます。
ただ、これをもし学習者さんに聞かれたら、どうやって分かりやすく答えたら良いでしょうか。
「空は青い(The sky is blue)」は、当たり前のことです。
「空が青い」は『発見(Discovery)』です。
例えば、ずっと雨だったのに急に晴れた時、空を見て「あ、青い!」とびっくりします。その驚きの気持ちがある時は「が」を使います。
今、目の前にある特別なニュース(新情報)なんです。
これを私は1週間考えて、翌週、質問してくれた学習者さんに伝えましたが、「ふ~ん」って感じで、ちょっと拍子抜けしてしまいました。
学習者さん側も、そこまで真剣に意味を知りたいと思って聞いていない事もあるので、特に初級の方には、ポイントを掻い摘んで伝えてあげるので十分だと思います。
おすすめの本
初級の方へ助詞について教える時におすすめな本は、イメージでわかる! 日本語の助詞というイラスト付きの本です。
学習者さんにそのまま使ってもOKですが、何よりも先生自身もイラストがある事により、しっかり理解でき、どう伝えたら良いのかが、とても分かりやすく書いてある本です。
もし、初級の方とレッスンをしていて、助詞についてどう説明したらいいのかな悩んでいたら、是非、購入していただきたいです。
私もこの本は好きで、伝え方を学ぶ参考書の様な感じで活用しています。
最後に
「は」と「が」は、中級や上級になっても混乱してしまう事もあります。
間違えても意味が通じないことはあまりないので、必要以上に気にしないようにと学習者さんに伝えてあげてください。

